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五十九
「今の“彼”には、味方が少ないんだ。このままでは真王は殺されてしまう。それを、止めなければならない。おそらく、国を割る戦になる。けれど、誰かがそれをしなければ」
ハクビは、迷っているようだった。クゼを、巻き込むという事に。
「……そうすれば、国は豊かになるのか?」
「正しい王が起てば、禍は無くなるだろうね。後は、その王次第だ」
「雨水で子供が死ななくなるか?」
「これから酷くなるのは、止められる」
クゼの躊躇、それは皆無だった。もう、答えは出ている。クゼの眼に光が燈る。燃え盛る火が宿る。彼は、決断した。
「やるよ」
力を込めてハクビを見返す。強く拳を握った。ハクビが迷っていても、彼はもう決めた。
「正しい王を、この国を、救ってやるよ」
「……もう、戻れないよ?」
「良いよ。どの道、この国はもう戻らないんだろ?」
クゼが笑う。ハクビも笑った。
「わかった。……やろう、共に」
ハクビが手を差し出す。その手をクゼは掴んだ。
後に“神の怒り”と称されるこの豪雨の中、雨水の焼け焦げた廃屋の跡の中、彼らは革命を決意した。この日から、彼らの長きに亘る戦いが始まったのである。




