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二十六
一方その頃、雨水の廃屋では。
「ハクビ兄ちゃん、これは? これは何て読むの?」
ハクビが、クゼに代わり子供たちに文字を教えていた。
「ああ、これはね――」
ハクビは優しい眼差しで子供に応える。
歳に違わず彼はクゼよりも学があるようで、子供たちの質問にそれは良く答えていた。ハクビは子供たちの扱いに慣れているらしい。子供が好きとのことで、幼い子たちが理解しやすいように噛み砕いて話す様は実に見事であった。
「ありがとうハクビ兄ちゃん! わかった!」
輝かしいばかりの笑顔で礼を言う少女。そんな少女にハクビは笑い返すと、優しい手つきで彼女の頭を撫でた。
「……そういえば、クゼ兄ぃ遅いね」
少し離れた位置にいた少年が口を開く。その言葉に皆気が付いたようで、各々顔を上げ口々に囁き合った。
「またあそこかな?」
「きっとそうだよ、街に行っているはず」
「じゃあまた持ってきてくれるのかな?」
「持ってきてくれるといいな!」
少年少女の言葉にハクビは首を傾げ尋ねる。
「持ってきてくれるって? クゼくんは今どこに?」
「クゼ兄ちゃんはね、今、大店通りに行っているんだよ!」
今度はハクビの疑問に自分が答えられる事が余程うれしいのか、ハクビの目の前に立ちしたり顔で少女が答えた。




