↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
3/12

3話 子供用お手伝いスタンプカード

「いーやーだぁー!あーそーんーでぇー!!」

「うるせぇぇぇ!!先に片付けてからだっつってんだろうが!!」

「やぁーだぁー!今遊んでぇー!うぇーん!!」

「うるせぇ!泣くな!まぁた床がビシャビシャになるだろ!泣くなら風呂場へ行け!」

「やだぁー!!運んでぇーー!」

「あぁもう!」


水揚げされたマグロの様にビッタンビッタン暴れるアンドロイド(スプリンクラー)を抱えて風呂場へ直行。水の張っていない湯船へと入れる。

このアンドロイドが家に来てから早数日。毎日毎日飽きもせずに泣き喚いている。

オモチャ代わりのキャラ物クッションを全部抱えて身動きが取れなくなり泣いてた時は流石に笑ってしまったりもしたが、部屋の中央で水を撒き散らされるのは迷惑極まりない。


「ねぇねぇ、遊ぼー?高い高いしてー?」

「しない。泣き止んだならお前が濡らした床を吹くぞ。フローリングが痛むからな」

「えーやだー!肩車してー!」

「だからしないって。体のサイズ考えろ。抱っこでも結構辛いんだよ」

「じゃあ抱っこ!おねがい(きゅるん)」


握りこぶしにした両手を顔の下に当ててコテンと小首を傾げるアンドロイド。

くっ、顔がいい。どこで覚えるんだそんなポーズ。


「はぁ……はいはいお姫様」

「わーい♪ぎゅー!」

「なら床ふきしてくれ」

「やー♪」

「はぁ……」


ここ数日で学んだ事がある。

アンドロイドに優れた学習能力があり、教えた家事を1回で覚えられたとしても、本人にやる気がなければ覚えた技術が発揮される事は無いと言う事だ。

……アンドロイドのやる気ってなんだよ。機械なんだから言われた事はやってくれよ。


「と、昨日までは嘆いていたが、今日の俺は一味違うぜ。おいアンドロイド。一緒に折り紙やろうぜ」

「え!?やるー!やろー!」

「床ふいてからな。早く遊びたかったら手伝え」

「えー。ぶーぶー」


アンドロイドはブーたれながらも部屋の隅に常設することとなったバケツと雑巾のセットを持ってきて床掃除を始めた。

やっぱりやろうと思えば出来るんだよな。出来ないよりもなお腹立たしいまであるぞ。


とにかく、床掃除はアンドロイドに任せて、俺は机と適当な裏紙。あとはペンなんかの小物の準備をする。


「終わったー!」

「よし、偉いぞ。こっちも準備出来たから折り紙するか」

「うん!」


隣に座ったアンドロイドに裏紙とペンを渡しつつ、俺は俺で作業を行う。

昨日の夜に見た育児エッセイでいいアイディアを見つけたんだよ。是非参考にさせてもらおう。

……なんで俺は未婚なのに育児情報を調べまくってるんだろうな。俺の検索履歴はどう見ても育児パパになってるぞ。


「だらららら、カニ!だららららら、ウサギ!」


高性能アンドロイドのスペックを無駄に発揮して高速で動物を折りまくるアンドロイドを横目に裏紙へとイラストを描いていく。

……まぁこんなもんか。あとは穴を開けて紐を通して……


「完成だ」

「なになに?何作ったの?みーせーてー!」

「いいぞ。コイツはな、スタンプカードだ」

「スタンプカード?」


俺が作ったのは子供用お手伝いスタンプカード。

スタンプを押すマスに番号が振ってあり、一定数毎に王冠が描いてある。


「テスターの依頼を受けた以上、2ヶ月はお前と共に居なきゃならん。だが今みたいにずっと張り付かれてちゃ俺の生活がままならん。そもそもお前を貰ったのは家事をさせて俺の時間を増やす為だしな。お前が来たせいで俺の時間が減ってる現状は本末転倒もいい所だ」

「えー。やだやだー!ずっと遊んでー!かまってー!」

「そう言うと思って作ったのがこのスタンプカードだ。お前が家事をしたり、その他俺の為になる事をしてくれたらスタンプを一個押してやる。スタンプがこの王冠の所まで溜まったら、なにか1つご褒美をやろう。一緒に遊ぶのでもいいぞ」

「えー。うーん……」

「ちなみにこれも嫌だと言うなら、自主都合の契約破棄にはなってしまうが、お前を高天原社へ強制送還するから」

「やだー!!」

「なら決定だな。ほら、掛けてやるから頭出せ」


半ば強引に押し切り、アンドロイドの首へと手作りのスタンプカードをかける。

これでアンドロイドの遊ぼう攻撃を断わる口実が出来たな。ちゃんと家事をやってスタンプを貯めるなら、まぁ多少は構ってやってもいいだろう。


「それじゃ、さっき床掃除をスタンプ押すぞー。カードを持って、こっちに見せろ」

「ん、こう?」

「そうそう。はいペッタンと」


アンドロイドが持つスタンプカードの1番と描かれたマスへスタンプを押し込むと、マフラーを巻いたウサギの絵柄が現れた。


「あっ!ウサギさん!」

「ラノベかなんかの特典で付いてきた奴だ。何種類かあるぞ。全部集めたらウサギさんも友達いっぱいで喜ぶんじゃないか?」

「〜〜っ!やる!いっぱい家事する!お友達増やす!」

「おー。がんばれー」


早速部屋の片付けを始めたアンドロイドを、見て、計画通り。とほくそ笑む。

このアンドロイドが家にいるのは2ヶ月少々なんだ。この調子でなんだかんだと理由を付けて家事をさせよう。技術自体はちょっと教えれば習得するからな。

これで、多少は楽になるはずだ。


……たぶん。正直に言ってあんまり自信は無い。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。