↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ガラス細工を愛する少女は王妃様を輝かせたい  作者: 麻生あきら
第四章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

55/111

49 次世代の誓い

 星降る夜空に浮かぶ天燈。

 聖女ソフィア像を仄かに照らす噴水の周りにたゆたう、ランタンの温かな灯り。

 人々はただ緩やかな祈りの中で空を見つめていた。

 

 

 

「なあ、あれ、どうするの?」

 

 遠巻きにアルドーとクリスを見守っていた生徒会役員の中で、最初に口を開いたのはイシャーンだった。

「どうって?」

 肩に寄りかかって来たイシャーンに、エミリオは視線を送る。

 

「君、先代に命令されてるんだろう? 籠絡しろって」

「出来るわけないだろ。あんなに幸せそうなのに。フリだけでも昨夜殴られるかと思ったよ」

「だよなあ」

 イシャーンは首をすくめ、ニヤリと笑う。

 

 叔父リカルドが王家に保護され状況が変わった。

 エミリオには先が見えない。

 元々、籠絡するつもりなどなかったが。

 

「そのまま、フリをしてもらえると助かりますの」

 背後からセーレナの声がかかる。

 

「クリス様に交際を迫っている、というパフォーマンスをして欲しいのです」

「パフォーマンス?」

 エミリオは聞き返す。

 

「先代様が区切った残る五ヶ月、秋の『部門別発表会』頃迄かしら? お二人の目眩ましをして頂きたいの。先代様への言い訳に出来るでしょう?」

 セーレナの提案の真意が解らず、エミリオは眉をひそめる。

 

「理由をお伺いしても?」

 イシャーンが臆する事なく問う。

 

 

 

「その間にわたくしがクリス様を鍛えます。上位貴族に対抗する(すべ)を余すことなく教え、王族に相応しい淑女にします。⋯⋯彼女は覚悟を決めました」

「ははぁ、成る程。僕も協力します。未来の公爵夫人を支えましょう」

 

 イシャーンがセーレナに向かって胸に手を当て頭を下げた。

 下を向いているが、エミリオからは計算高い笑みを浮かべているのが見える。

 セーレナは扇で口元を隠し、片眉を上げた。

 

「⋯⋯見返りはあまり期待しないで頂きたいわ。今は何も用意出来ないから」

「ふふ、先行投資です。アンバーブロウ嬢のガラス細工を売り出すのに尽力しますよ」

「⋯⋯心強いわ。わたくしだけでは難しいと思っていましたの。エミリオ様は申し訳ないけれど、ずっと振られ続けて下さる?」

 

 エミリオはふう、と一息ついてから、背筋を伸ばす。

「承知しました。王家の為にご奉仕致します。⋯⋯ただ昨夜、状況が変わりました。半年より早まるかもしれません」

 

 セーレナは、ふむ、と一息ついて、事も無げに言った。

「そう、ならばわたくしたちが卒業する迄ですわね。その後はどうにでもなるでしょう」

 

「場合によっては叔祖父の家に爵位が移るかも⋯⋯。僕も学園にいられるかどうか」

「確かにマールム公爵位のお取り潰しはないでしょうね。でも、罪を償うのは先代様ですわ。貴方はむしろ協力者として何らかの措置はあるのではないかしら。⋯⋯今は何もかも不確かね。どのみち貴方は、振られ続けて下さる以外ないわ」

 

 にっこり。クラーワ直伝の圧の強い、輝く笑顔。

 

「⋯⋯重ねて誓います。王家の為にご奉仕させて頂きます」

 

 こうして将来の公爵夫人を育成するために、未来を支える『財務』、『商務』、そして『内務』が手を取り合った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。