表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ガラス細工を愛する少女は王妃様を輝かせたい  作者: 麻生あきら
第三章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

32/38

28 クラーワの輝く笑顔

 生徒会活動を終えたアルドーとセーレナは、彼女の侍女と共に王家の馬車に乗り込み王城へと向かった。

 クリスはミニュスクール公爵家の馬車で、セーレナの護衛に守られ帰宅した。

 

 王妃の待つ王妃の私室へ向かう。

 マグノリアの花びらが水を張った花器に浮かべられ、微かな香りが二人を迎えた。

 クラーワは二人に着席を促し、茶を供する。

 侍女たちは心得たように退室し、静かに扉が閉じられた。

 

「ごきげんよう、アルドー、セーレナ。学園はどう?」

 

 いまだ若々しく見えるクラーワは四十二歳。

 アルドーの胡桃色の髪と濃紺の瞳はクラーワ譲り。

 思慮深そうな面持ちに反して、『農務』エピ公爵家出身の公女らしく園芸が趣味だ。

 

 二人は丁寧に挨拶を返し、今後の抱負を語った。

  

「そう。期待してるわ。⋯⋯さて、本題です。アルドー、貴方はセーレナに頼りすぎです。いつこちらに話に来るか待っていたのですよ?」

 

 アルドーは、ぐぅ、と声を漏らし、口に寄せたカップから目を離し王妃を見る。

 一瞬にしてカラカラに乾いた喉を潤し、カップを置いて頭を垂れた。

 

「猛省しております、母上」

 

 王妃は優雅にこくり、と茶を口にした。

 

「慣例通りに成績優秀者から生徒会役員を選抜すれば、あの二人が入るのは必定。クリスは勿論、エミリオは二期目と言えど、昨年度は貴方が生徒会にいなかったのだから、今年度はきちんと調査すべきでした。

 どちらか一方を外すとなったら、クリスを外すのが妥当ね」

「⋯⋯」

「貴方がのんびりしていたお陰で、マールム公爵家とアンバーブロウ男爵家がどういう状況なのか当人たちが知る事になってしまいました。本当は二人に嫌な思いをさせずに話を進めてもらいたかったわ」

 

「申し訳ございません⋯⋯」

 アルドーはうなだれる。

 浮かれていた、とフラッハに言われたが確かにその通りだ。

 クリスが推薦された事が嬉しくて仕方なかった。

 エミリオにしても王太子に心酔しているのだから安全だと信じ切っていた。

 

 

 

「あれはとても根が深いの。深いし広い。国王陛下も手を打ってはいるけれど、マールム公爵家はなかなか手強くて⋯⋯」

 

 すでにクリスもエミリオもお互いの立ち位置を理解し、歩み寄り始めている。

 だが、マールム公爵家を取り巻く『科学』やコルデラ侯爵夫人などすべてを把握するのは時間が必要だ。

 

「母上、すでにご存じかと思いますが、エミリオからもたらされたマールム公爵家の懸念がございます」

 

 クラーワは頷き、促されたアルドーは六つの事柄を挙げた。

 

「そうね、情報提供者はマールム公爵夫人かしらね? 彼女は常に監視されていてこちらから手を出せないでいるの。マールム公爵もそう。宰相として王城に勤めながら、常に部下たちに監視されているわ」

「そんな……。まさか、『科学』や『医療』にも監視が?」

「王城での作業には付いているかも知れないわ。わたくしは『国王の間』に入れませんから分かりませんが」

 

 アルドーはジュゼッペの執念にぞっとした。

 どれだけの人々を駒として扱っているのか、想像できない。

 

「コルデラ侯爵夫人に関してはキアラも少し疑っていたわ。クローステール男爵が『芸術』一門の会合で留守なのを狙って襲撃されたから。予定を知っているのは限られるわ」

「何か因縁がおありなのかしら? 学園時代同時期に在学していたそうですけれど」

「ノア・アンバーブロウに懸想していたらしいの。自分はコルデラ侯爵と婚約していたのにね。キアラは学園時代から目立たない嫌がらせを受けていたそうよ」

 

 親子揃っての嫌がらせにアルドーは眉を顰める。

 クラーワは扇で口元を隠し、そっとため息をついた。

 

 

 

「クリスの護衛は許可します。学園用とアンバーブロウ邸向けの二人よ。外に待たせているから貴方が統制しなさい。情報共有はいつもの護衛に。頻繁になさいね。

 しばらくこちらから大きく動く事はないわ。貴方達は『お披露目』をつつがなく開催出来る様に頑張りなさい」

「承知しました」

 

 アルドーはクラーワから()()()()でクドクドと、セーレナをきちんと送るよう念を押されて退室した。

 いつにも増してクラーワの笑顔の圧が強い。

 クラーワの笑顔は怒りの裏返し。

 アルドーはそう感じた。

  

「すまない、セーレナ」

「ふふふ、王妃陛下は厳しいけれど、お優しいですわね」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ