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私は魔法使いなんかじゃない!  作者: いと・うさぎ
アムステール王国再建物語Ⅰ
32/235

地下室の中で……

「お母さん……」


 ゆっくり目を開けると、石造りの天井が見えた。

 そして、背中がひんやりと冷たく、空気がカビ臭い。

 机や椅子すら置かれていないこの部屋は、床も天井も壁も全てが石造りだった。

 窓は天井近くに格子が取り付けられている小窓のみ。


 後ろに回された手はきつく縄で縛られているので、里奈は身体をゴロンと横に倒し、ゆっくり慎重に起き上がる。


「日本に戻ってきた訳じゃないのか……」

 

 微かに光が漏れている小窓の方を見上げる。

 自分はどれくらい眠っていたのだろう――

 ぼんやりとする意識の中、自分の置かれている状況を考える。


「確か……男たちに羽交い絞めされて、変な薬を嗅がされて……っていうか、今何時なの!?」


 部屋の扉を縛られている手で何とか開けようと試みるが、もちろん鍵がかかっていて開けられない。

 里奈は、助走をつけて扉に体当たりしてみるが、びくともしない。


「誰かいませんか――? せめて今何時か教えてよ――」


 必死で叫んでみるも、誰も来やしない……

 諦めて、別の方法を模索するために、縛られた縄を解こうともがく。


「作戦は決行されたのかな……皆大丈夫かな……ああもう! きつく結びすぎよ!!」



 なんで自分はこんなに頻繁に捕えられるのか――?



 ここまでくると、笑うしかない里奈は、荷馬車に連れ去られた時のように、ガラスの欠片で縄を切ろうと考え、それらしきものが落ちていないか床を探してみる。

 

  

 すると、一冊の本が無造作に落ちていた。


「なんなのよ……私が今欲しいのは、暇つぶしの本じゃなくて、ガラス片なのに!!」

 ぶつぶつ言いながら本の表紙を見る。


『How to use of the magic』


「魔法の使い方……?」


 おそるおそる、指先でページをめくってみると、予想通り英語がびっしり書かれていた。

 本を閉じようかとも思ったが、ものは試しに読んでみることにする。


「ああ……辞書がほしい」


 里奈はこう見えて学校の成績はほとんどが十位以内。

 その中でも唯一苦手だったのが英語だ。

 あまり気が進まないが、仕方がない、とりあえず挑戦する。


「えっと……rules for the wizard and the witch……魔法使いの心得?」


 頭にある英単語をフル活用し、ゆっくり読み進めていく。


 At first ,it is necessary for you to understand what the magic is.

(まず、あなたは魔法とはなんなのか理解する必要がある)

 

 And you must know that the blood relationship of successive generations is very important .

(先祖から代々受け継がれる血続関係がとても重要だということを知っていないといけない)


「確かに、性悪王子も血がどうのっていってたよね……ああ、日本語だったらスラスラ読めるのに……ほんと疲れる……」


 ぶつぶつ文句を言いながらでも里奈は頑張る。


(魔法とは、人の思いや願いを自然の摂理を超えて、具現化することである。これは、魔法使いの血を受け継ぐ者でないと行うことができず、力の強さやできる範囲には個人差がある。また、魔法には大きく分けて二種類あり、一つは自然の力である生の力を利用するものと、恐怖や悲しみなどの感情から発生する負のエネルギーを利用するものがある)


 だんだん、目がちかちかしてきた上、わからない語彙がありすぎて読み進められなくなった里奈は、翻訳を続けるより、違う方法を模索したほうがいいと思い始めた。


「私がこの本を読んだところで、魔法が使えるようになるわけではないんだし! 今は何とかしてここから脱出することを考えないと!!」


 そしてその本をパタリと閉じたのだった。

 

 




 

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