女子の裏切り
数日経つと、ついこの間まで女子からハブられていた森本彩花が、女子たちの輪に復帰していて楽しそうに皆の前で笑っていた。
(なんだ……もうグループに戻ったんだ。一体何だったんだろう?)
里奈は、そんな森本を教室の片隅から眺めている。
「森本さん、明日皆で遠足のお菓子買に行くんだ。よかったら森本さんもこない?」
「いいの?」
「もちろん。じゃあ、十時にさくら公園で待ち合わせね」
「うん」
森本彩花は嬉しそうに返事をしている。
そんな彼女を見て里奈は、内心ほっとした。
昼休み、一人で女子トイレに行くと、安田愛子たちグループが鏡の前でケラケラと笑っていた。
里奈は手を洗おうと洗面台の蛇口をひねる。
「森本彩花、明日ほんとに来るかなぁ。あの子、めっちゃうれしそうだったよね~」
「ほんと、ほんと。ぜったいウチらがくるって信じてる顔だった~」
「うけるよね。誰もいかないのにさ」
里奈の心臓が大きく鼓動する。
(それは本当……? 森本彩花を騙しているの……?)
里奈は蛇口をひねる前に、信じられないという顔で彼女らを見つめる。
安田たちはそんな里奈を取り囲み、
「宮本さん、この事をばらしたら、あんたもハブだから! ちょっと男子たちと仲がいいからって調子のらないでよ?!」
と強い口調で言った。
彼女らにそんなことを言われる筋合いはない、と言ってやりたかったが言葉が見つからない。
この言葉は里奈にとって衝撃的で、心に何か刺さったような感じがする。
いくら男子と一緒に遊んでいても、クラスの女子から無視されるのは嫌だ……
このタイミングでトイレなんか来なければよかった……
里奈は自分の間の悪さを恨む。
女子の面倒なことには関わりたくなかった里奈は、彼女たちの言うとおりにし、自分の中では聞かなかったことにすると決めた。
(ごめん……森本さん……)
しかし里奈の心には、しこりが残った。




