エピローグ:忍び寄る影
カツン……カツン……カツン……
静寂しかないカテドラルに、無機質の音が響き渡る。
日中だったら太陽の光が差し込み、幻想的で神秘的な雰囲気を漂わせているこの場所も、光のない新月の夜には不気味でしかない。
燭台にともった光だけを頼りに、一歩ずつ祭壇へ向かっていく。
そして、祭壇の燭台に手に持っている燭台で火を灯した。
すると、ぼんやりだが、床の魔方陣が浮かび上がっていく。
「本当にやれるだろうか……」
そう言いながら祭壇の十字架を見上げた。
祭壇にはブラウエ・ローゼンが両手に聖剣を持ち祈りをささげている像が置いてある。
その像に視線をやりながら、今までのことを回想する。
すべて順調だったのに……
ここ数日で、予想外のことが次々起こり始め、計画が急に狂い始めた。
このままでは、期限までに任務を遂行できない。
もう少しで長い道のりが終わるのに。
なんで今なのか。
なぜ、心が揺らぐのか。
神の裁きを受ける覚悟はできているのに。
『計画は順調だろうな?』
不気味な声が突然、響き渡った。
魔方陣が怪しげな赤い光を放っている。
「はい、順調に遂行しております、わが君……」
『では、もうすぐなのだな……。我が手に落ちるのは』
「はい、さようでございます。そうなったあかつきには……」
『わかっておる。お前の願いを叶えてやろう。失敗は許さんぞ?』
「ええ、抜かりなくやりますので、心配されなくても大丈夫です」
『次はいい報告を待っておる……』
声と共に魔方陣の光消えて行った。
もう、これで後戻りはできない。
やるしかないのだ。
そう自分に言い聞かせた。




