表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
一目惚れ伯爵令嬢と下僕たち ~イケメンを探していたら陰謀を暴いてしまいました~  作者: 中里勇史
帝都に向かって

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
74/74

奇跡の合流

 大都市の喧騒の中で、同郷の知人に偶然出会うこともある。


 プルティスラ(運命の女神)は時に残酷であり、時に出会いをもたらす。秋の空のように気紛れだ。ゆえに、大昔の人々は運命の神は女神であると考えた。


 血で汚れた体を清めて着替え、意気揚々と進むリリーメルと既にゲンナリしているピーデは、帝都を目指して北上を開始した。

 一刻も早くリリーメルと合流しようと焦るフェーンとアディは南下した。

 二つの動きが、ストルン街道でついに相まみえたのである。


「あらフェーンとアディ、こんなところで何してるの?」

「姫様!」「姫様!」


 リリーメルは、大きな目をぱちくりさせて二人を眺めた。眺めていたら、驚きに続いて形容し難い感情が沸き起こってきた。


「何? なぜ二人? 何してるの? 何で? どうして? 遠乗り? 私を除け者にして? 仲がよろしそうで何よりね? 楽しい? お邪魔だったかしら? そうね私は邪魔ね。そうよね! ええ邪魔ですとも! じゃあ、さ よ う な ら!」

「姫様!?」

「さあ行きましょうピーデ。邪魔をすると馬に蹴られますよ」

「姫様!?」

「私は忙しいのです。おっと、お二人も忙しいのでしょう?」

「姫様!?」

「何ですかしつこい! お二人はその辺りの茂みにでも入り込むがよいでしょう。さあ行ってらっしゃい! ヤッてらっしゃい!」

「姫様、何を怒っているのですか?」

「怒ってなどい ま せ ん!!!!」


 首まで真っ赤にしているリリーメルに、フェーンとアディは狼狽した。何を言っているのかさっぱり理解できない。新雪のような肌は熟したリンゴのようになり、目の周りがひどく充血している。

 脳天から湯気でも出しそうな勢いだ。

 追ってきたことが、そんなに気に入らなかったのだろうか。


 フェーンは、いつもとはまた異なる異常行動をするリリーメルはともかく、その後ろに居る男が気になった。

 ひどく目付きが悪い。人相が悪い。血色も悪い。身なりも悪い。


 平民……しかも傭兵か。

 腰には長剣を下げている。

 男の油断ならない気配を感じて、街の市民や農夫でないことを察した。フェーンの動き次第では、リリーメルの首に剣を突き付けて人質に取るだろう。一瞬でリリーメルを確保できる距離を保っている。

 フェーンたちの距離では、男がリリーメルに取り付くのを阻止できない。刺激したら危険だ。


「姫様。それより、そちらにいらっしゃる御仁は?」

「それより? それよりとは何ですか! そもそも……」

「嬢ちゃん、少し黙りな。騎士さんが緊張しまくってるぜ」

「緊張?」

「俺が敵じゃねって説明してやれよ。あの騎士さん、さっきから間合いを計り続けてやがる」


 フェーンは心の中で舌打ちした。全て見抜かれている。姫様が弱みであることも相手は分かっている。相手は圧倒的に有利な状況にいる。それを知って、余裕を保っている。


 姫様を介していると話が進まない。


「申し遅れた。私はソド・デルバーエル・フェーンエルと申す。そこな姫様の護衛である。よければ貴殿の名をお聞かせいただきたい」


 ――敵か味方かも分からん相手に情報を与え過ぎだ。


 かつてそう教えてくれた男がいた。


 男は、ふっと笑って答えた。


「俺はピーディント・エゲイン。傭兵だ。この嬢ちゃんに雇われた。この嬢ちゃんを『犯さずに帝都まで送り届ける』ってな」

「犯さっ……何だって?」

「だから、手出ししねえって言ってんだよ。ヤラねえって」

「ヤラ……」


 フェーンの顔が赤くなる。アディはそれを見てため息をついた。


「だからよ、どいつもこいつもソコにこだわるなって。とにかく、敵じゃねし、敵になるつもりもねえ。いいから、剣を抜く間合いを計るのはやめてくれ。疲れるぜ」

「そうよ。ピーデは私が雇ったの。彼に手出しをすることは許しません!」

「ピーデ!?」「ピーデ!?」


 フェーンとアディが目を丸くしてピーディントを見た。ピーディントは嫌そうに、とても嫌そうに顔をしかめた。


「もう何でもいいからよ。好きにしてくれ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ