反逆罪
―― 今度の敵は帝国!? ――
伯爵令嬢リリーメル17歳。体のことも気になるお年頃。大逆罪で捕らえられた父上を救うため、右往左往。周章狼狽。七転八倒。
帝都に行こうとして大失敗。帝都に行って大失敗。
行く先々で素敵な殿方にときめきながら、いつのまにか帝国の秘められた暗部に立ち向かうことに!
父上は本当に皇帝に呪いをかけたの!?
そして私は、父上と帝国の真実を知った……。
姫様――キルエルト伯の四女ヴァル・サーディバル・リリーメルは、両手で口を押さえて、蒼白になった美しいお顔を震わせた。
私――姫様付きの侍女ソド・マークマエン・アディーメは、姫様の後ろに立ち、驚きで硬直していた。多分、顔色も悪いはずだ。
三の姫、つまり姫様の一つ上の姉上は、わっと泣き出した。「父上はもうお終いよ!」と叫んで、食卓につっぷしてしまった。
まだそうと決まったわけではないのだが。
とはいえ、絶望的な状況には違いない。
姫様たちのお父上であるキルエルト伯が、反逆罪の嫌疑によって帝都で捕縛されたという。爵位を持つ貴族が捕らえられるのは、極めて異例の事態である。
皇帝への反逆は、捕らえられたとしても仕方がない罪だった。爵位剥奪、最悪の場合は処刑も覚悟せねばならない。そうなれば、姫様たちも伯爵令嬢の地位を失う。貴族身分を保持できればいい方で、平民に落とされる恐れすらある。
姫様たちにこの残酷な現実を伝えた伯妃ラーエメルデ様は、気丈にも背筋を伸ばして毅然としたお姿を維持していたが、焦燥の色は隠せない。
詳しいことは何も分からない。
帝都は、遠い。
姫様は、椅子からゆらりと立ち上がると、お母上に宣言した。
「何が何だか分からないけど、父上をお助けしなければ!」
頼もしい。姫様はまた少し大人になられた。
お母上は、ふと表情を和らげて姫様を見つめ、そしてこう言った。
「お座りなさい、リリー。それから、訳の分からないことをして話をややこしくしないように」
十七歳編の始まりです。
ブクマや評価(★)していただけると励みになります!




