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一目惚れ伯爵令嬢と下僕たち ~イケメンを探していたら陰謀を暴いてしまいました~  作者: 中里勇史
最後の戦い

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新手の騎兵

 門を守っている者たちが時間を稼いだため、公爵以下、宮殿内にいる兵たちも甲冑を着込んで完全武装することができた。

 だが、ついに東門が破られた。


公爵(イルセエル)、東から敵兵が殺到してきます」

「皆の者、続け!」


 イルセエルを筆頭に、守備兵が宮殿の東側に集結する。


「どうせ実戦経験もないひよっこどもよ。マイツァーデイン公に屠られること、名誉に思うがいい」


 何かが扉を激しく打ちつける音がする。

 扉が破られた。


 人一人がやっと通れる穴。

 その穴から敵兵が侵入を試みる。

 そこに、イルセエルが槍を突き入れる。


「素人め。思ったより楽な戦になりそうではないか。この穴で一匹ずつ始末してくれる!」


 イルセエルは大声を張り上げて有利をことさら誇張し、大笑いした。


 ――(いくさ)は、怯えたら終わりよ。勝っていると思い込んでいるうちは負けぬのだ。たとえ勘違いでもな。


「それ者ども。巣穴から出てくるネズミを刈り尽くせ!」



「ガンデ、キリがない!」

「んなこたあねえよ。一〇〇人しかいねえんだから、そのうち終わる」


 ――フェーンの緊張が切れたか。


 緊張も悪いことばかりではない。

 集中力を高める効果もある。

 疲れていることを忘れることもできる。


 緊張が解けると、疲れがどっと押し寄せてくる。

 守備兵も何人かやられて、負担も高まっている。

 広い範囲を守り切れない。


 壁を乗り越える敵兵が視界の隅に見えた。

 まずい状況なのは分かっている。

 だが、目の前の敵も放置できない。


 剣が重い。

 足も重い。

 疲れていることに気付いた。


 壁を乗り超えた敵兵が、門のかんぬきを外した。


 ――これまでか。


「ガンデ、新手が!」

「新手だぁ?」


 段々どうでもよくなってきた。

 ダメだ。疲労で頭が回らない。


 かすむ目で遠くを見渡す。

 新たな騎兵が迫ってくるのが見えた。


 ――終わった、な。

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