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一目惚れ伯爵令嬢と下僕たち ~イケメンを探していたら陰謀を暴いてしまいました~  作者: 中里勇史
黒幕は誰だ

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物証を探せ

ダルナー副伯(ロルセエル)……。素敵ね」


 姫様は、窓辺で外をぼんやり眺めながら、花瓶に挿してあった花の花びらをぷちぷちとちぎっては投げちぎっては投げしている。おっと、これは敵を次々に倒す表現だった。

 あっという間に、花瓶の花は全て丸裸にされてしまった。先ほどの表現は、あながち間違いではなかったかもしれない。


 もう、ダルナー副伯でいいのではなかろうか。

 これといって彼に欠点はなさそうだ。現に、あの姫様が欠点を見付けられなかったのだ。年の差は大きいが、貴族の縁組としてはさほど変ではない。

 もう、ダルナー副伯でいいのではなかろうか。

 相手が決まれば姫様の奇行も収まるのではないか。

 面倒くさいし。

 おっと、本音が。


「ねえアディ」

「何です? 姫様」

シルテン副伯(エレアーデン)の目付き、見た?」

「えっ!?」

「彼、カプテディーン伯(ゾルアーデン)のことを物凄い目で睨んでたでしょ」

「気付きませんでした……」


 姫様の奇行が心配で、姫様から目を離せなかったのだ。

 いや、ダルナー副伯のことも割と眺めていたのだが。


「一応、姉様にも注意するようにとは伝えておいたけれど……」


 そんなことをしていたのか。私がダルナー副伯に見とれている間に。

 やはり姫様は成長なされた。


ダルナー副伯(ロルセエル)……。素敵ね」


 一・三セルほど成長した姫様は、ふうとため息をついた。



 一族が一カ所に集められたこの状況……。

 何か事を成すには実に好都合。それぞれの領地に分散している状態では、人の動きが証拠になることもある。

 しかし、この宮殿内だけで済ませるのであれば、話も違ってくる。公爵(イルセエル)は、わざと軽挙妄動を誘っているのでは……。


 私は、(ゾルアーデン)を見るシルテン副伯(エレアーデン)の目が尋常ではないというリリーの助言を基に、可能性を考えた。

 別に公妃になれなくても構わないけれど、夫を失うのはとても嫌なので、それだけは絶対に邪魔しなければならない。


 まず、「シルテン副伯(エレアーデン)が夫を害したい」点にだけ着目してみよう。

 首謀者かどうかは除外する。

 シルテン副伯の目的は何か。公位継承権だ。

 夫を害し、かつ公位継承権を得る条件は何か。

 夫殺害の罪を回避することだけ。

 目的達成を阻む壁は、彼が最も少ないのだ。


 罪を回避する手段とは?

 夫が事故死、病死、自然死「に見える」状態で死ぬこと。

 二〇代の夫が自然死に見える死に方をすることなないので除外する。病死については、口に入れるものに注意が必要だ。

 もう一つは、罪を他者になすりつけるか自分が疑われない状況で夫が害されること。

 戦、強盗などの外的な要因、近親者による勝手な犯行……。

 シルテン副伯の目付きが異常なのは、自身で実行する緊張感から?

 「平素を装うことすらできない」ところが逆に危ない。

 その罪を第三者になすりつける……。

 候補者は多過ぎて絞り込めない。

 結局のところ、リリーの直感から可能性を広げるしかない。


「そこであなたたちの出番よ。シルテン副伯(エレアーデン)の部屋に忍び込んで、何か物証をつかんでほしいの」


 フェーンとダガベは、エーメレイアにひざまずいて礼をした。

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