ジャンピング土下座は異世界でも共通
「おはようみんな。早速だけど今からクラス対抗戦を始めるよ!」
突然教室に入ってきたかと思うと、男はそんなことを早口で言った。こいつ当たり前のように5分遅刻しやがった。なに? 異世界では五分後行動が定石ですかぁ?
「ク、クラス対抗戦!?」
それに少し大袈裟に見えるほどにカイが反応する。芸人みたいな反応だな。
すると男は少し深刻そうな顔をした。
「突然ですまない……。
昨日、伝えるのを忘れてた!」
男はてへっとふざけたポーズをとる。
「「は?」」
「せ、先生? それって結構まずいんじゃ……」
ティアラが慌てた様子で男に問う。すると男はグットの形を手で作った。
「めーちゃくちゃまずい!!」
「…」
とりあえず縛ってから焼肉にするか。あ、でもここで火を使ったら危ないな。まあここ大学の教室みたいな感じで広いからいいか。
「いやいや、ミスったよほんとに。他クラスは昨日作戦会議を済ませてるからね」
「ちなみにいつ始まりですか?」
カイが頭を抱えてながら、呆れたように言った。
男はそれを聞いて時間のわかる魔道具に目を落とす。いわゆる腕時計だ。
「ええっと確かーー」
その時、すごい音と共に部屋のドアが蹴り飛ばされた。そのままその飛ばされたドアは、男を巻き込んで壁に激突した。え、えぇ?
「おぉ? 殺しちまったか?」
そう言って入ってきたのは大柄な男。いかつい顔に金髪の髪。いかにもヤンキーというか、悪役な感じがする見た目だ。こ、これは……神展開!!
するとティアラが慌てて立ち上がり、驚きを隠せない様子でその男に言う。
「な、あなた! なぜこんなことを!」
だが男はなんていうか拍子抜けしたような顔をする。
「は? そりゃ、今、クラス対抗戦中だからに決まってんだろ…?」
「……え?」
どこからか吐息のような声が漏れる。
すると飛んでいったドアの方からごそごそと音がする。
「ごめんごめん! 私が遅れたのもあって、もう始まってみたい!!」
男は何事もなかったようにドアを避けて立ち上がると、頭の後ろに手を置いて気まずそうに微笑んだ。そんな最悪の言葉が告げられるのと同時に、僕らの教室の背後に人が現れる。
ざっと10人くらいか、おそらく別クラスの奴らが横に並んだ。
「攻撃始め!」
その中心に立つ女子の力強い声と同時に、一気に魔術が放たれる。撃たれたのは雷、炎、風、の攻撃特化の魔法。相性の悪い水や闇が何のを見るに、ちゃんとした作戦のもと動いていたのだろう。
何人かの生徒は反応し防御の準備をしていたが、大半の生徒が怯えるように手で体を覆っていた。このままだとかなり死ぬだろう。
「ストーープ!」
そんな言葉が教室に響いたかと思うと、全ての魔術がバリアによって塞がれた。
「な! ふざけているのか!!」
中心にいたリーダーっぽい女子が先生に向かって叫ぶ。
「いや、そのさ、色々あってね」
男は敵クラスの鋭い視線を一気に浴びる。
「その、対抗戦のこと伝え忘れてたんだよね!」
男はいつもの調子でてへっと笑って、乗り切ろうとしたが相手はまじの顔をしていた。この先生やばいな色々と。
「それで済むとお思いですか!?」
彼女は大きな声で混乱しながら男に怒鳴った。
「私たちは今、一つの策を潰されたのですよ?」
「す、すみませーん!!」
男は焦りながら勢いよく飛び上がると、ロ〇クマン2のボスのようにジャンピング土下座を決めた。ああ、ワイリーもこんな感じで土下座してたのか。
その後、男のせいでなんと対抗戦は延期、そして男には減給が下され、教室で反省文を書かされていた。あんなナルシストなのに、あの校長先生みたいなやつの言うことは聞くんだな。




