神様誕生
まずは、誰か勧誘しないと。
「ペルソナ、どうやって組織に人を勧誘する?」
「それなら、いい作戦があるよ」
ペルソナは悪い顔で笑った。
「なんだ?」
「私は元・幹部だからね。同じ幹部だった者の一人に頼んで、この国を襲ってもらうんだ」
「そいつを私が瀕死にして、君がとどめを刺す」
なんていうか、こいつ普通にひでーな。
「その幹部を倒して、注目を集めるってことか」
「ああ。悪くないだろう?」
「…そうだな。一度、やってみよう」
*◆*◆*◆*◆*◆*◆*◆*◆*◆*◆*◆*◆*
そうして時は経ち、作戦決行の日がやってきた。
「いやー、少し緊張するね」
ペルソナはあくびをしながら言った。
こいつは絶対緊張してないな。
「まあ、頑張ってくれ……」
空気がぴりっと張り詰めた、そんな矢先だった。
――ドォン!!
遠くから爆発音のような音が響いた。
「始まったか……」
*◆*◆*◆*◆*◆*◆*◆*◆*◆*◆*◆*◆*
「まったく、ペルソナのやつ。この俺様に、こんなちっぽけな国を襲わせやがって!」
ゴリゴリの鎧をまとった魔族の男が、苛立たしげに舌打ちした。
「まあいい、さっさと終わらせて帰るか」
そう言うと、幹部はためらいもなく建物に向かって魔力弾を撃つ。
魔力弾とは、この世界の1番一般的な攻撃方法で、風などに変化することで起きる魔力の消耗が減り、このような場面では1番効果覿面である。
魔力は凝縮具合によって色が変化する。それは凝縮されていれば凝縮されているほど、黒くなっていく。幹部は色は真っ黒だった。
「うわーっ! 助けてー!!」
悲鳴や叫び声がそこかしこに響き渡る。だが、幹部は一切気にせず、破壊を続けた。
町の広場が瓦礫に埋まりはじめた頃。
「調子はどうだい?」
「ん? ペルソナか。なんでわざわざ、こんな国を襲わせたんだよ!
「それはね、君をこうするためだよ」
「は?」
その瞬間、幹部の体は一瞬で切り刻まれていた。
「クソが……ペルソナァ!!」
幹部もすぐさま再生し、ペルソナへ殴りかかるが……。
「止まれ」
ペルソナが一言つぶやくと、幹部の動きがピタリと止まった。
そこからは、一方的な暴行だった。
「私は素手ではあまり戦わないんだけどね」
「バキィッ! ドカッ!」
腹、顔、頭、色々なところにペルソナの重い一撃がクリーンヒットする。
「ふざけんな!!
卑怯だぞ! ペルソナ!!」
「少し、静かにしようか」
淡々とした声でそう告げると、ペルソナは氷のナイフをいくつも生成し、容赦なく幹部の体へと突き刺していった。
肉体的なダメージは浅かったが、幹部は精神的に折れたのか、そのまま気絶した。
*◆*◆*◆*◆*◆*◆*◆*◆*◆*◆*◆*◆*
「うわ、ペルソナ……えぐっ」
僕は驚きながらも、気絶した幹部を担いで避難所に向かう。
避難所とは結界に守られた場所で、この結界の色は透明。
人々は押し合いながら身を寄せ合っていた。
「こわいよ!」
「僕たちも、死ぬのかなあ……」
暗く重たい空気がそこにはあった。
「おい! みんなー!!」
僕は腹の底から声を出して叫ぶ。
すると、ざわめいていた人々の視線が一斉に僕に向けられた。
「この僕、最強デウス様が敵を倒してやったぞ!」
わざと、堂々と、そして偉そうに言ってやった。
沈黙。信じられないという疑心暗鬼の空気、期待と希望の空気。
そんな中の一言。
「……あれは、神様だ」
誰かがぽつりとそう呟いた。
「神様……」
「神が、神が我々を救ってくださったぞー!!」
誰か1人の歓喜の声。
「神様だーー!!」
「うわああああ!」
1人の声に釣られ、歓声が雪崩のように起きる。子どもも、大人も、誰もが目を輝かせて僕を見ていた。
あれ? 思った以上にうまくいってんな。
……こうして、僕はなぜか神様になってしまった。




