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神様誕生

まずは、誰か勧誘しないと。


「ペルソナ、どうやって組織に人を勧誘する?」


「それなら、いい作戦があるよ」


「なんだ?」


「私は元・幹部だからね。同じ幹部だった者の一人に頼んで、この国を襲ってもらうんだ」


「そいつを私が瀕死にして、君がとどめを刺す」


なんていうか、こいつ普通にひでーな。


「その幹部を倒して、注目を集めるってことか」


「ああ。悪くないだろう?」


「…そうだな。一度、やってみよう」





 


そうして時は経ち、作戦決行の日がやってきた。


「いやー、少し緊張するね」


「まあ、頑張ってくれ」


空気がぴりっと張り詰めた、そんな矢先だった。


――ドォン!!


遠くから爆発音のような音が響いた。


「始まったか……」




 


「まったく、ペルソナのやつ。この俺様に、こんなちっぽけな国を襲わせやがって!」


ゴリゴリの鎧をまとった魔族の男が、苛立たしげに舌打ちした。


「まあいい、さっさと終わらせて帰るか」


そう言うと、幹部はためらいもなく建物を次々と破壊していく。


「うわーっ! 助けてー!!」


悲鳴や叫び声がそこかしこに響き渡る。だが、幹部は一切気にせず、破壊を続けた。


町の広場が瓦礫に埋まりはじめた頃。


「調子はどうだい?」


「ん? ペルソナか。なんでわざわざ、こんな国を襲わせたんだよ!」


「それはね、君をこうするためだよ」


「は?」


その瞬間、幹部の体は一瞬で切り刻まれていた。


「クソが……ペルソナァ!!」


幹部もすぐさま再生し、ペルソナへ反撃を仕掛ける――が。


「止まれ」


ペルソナが一言つぶやくと、幹部の動きがピタリと止まった。


そこからは、一方的な暴行だった。


「私は素手ではあまり戦わないんだけどね」


バキィッ! ドカッ!


「ふざけんな!!」


「卑怯だぞ! ペルソナ!!」


「少し、静かにしようか」


淡々とした声でそう告げると、ペルソナは氷のナイフをいくつも生成し、容赦なく幹部の体へと突き刺していった。


肉体的なダメージは浅かったが、幹部は精神的に折れたのか、そのまま気絶した。





 


「うわ、ペルソナ……えぐっ」


僕は驚きながらも、気絶した幹部を担いで避難所に向かう。


人々が押し合いへし合いながら身を寄せ合っていた。


「こわいよ!」


「僕たちも、死ぬのかなあ……」


暗く重たい空気がそこにはあった。


「おい! みんなー!!」


僕は腹の底から声を出して叫ぶ。


すると、ざわめいていた人々の視線が一斉に僕に向けられた。


「この僕、デウス様が敵を倒してやったぞ!」


わざと、堂々と、そして偉そうに言ってやった。


「……あれは、神様だ」


誰かがぽつりとそう呟いた。


「神が、我々を救ってくださったぞー!!」


「神様だーー!!」


「うわああああ!」


歓声が雪崩のように起きる。子どもも、大人も、誰もが目を輝かせて僕を見ていた。


あれ? 思った以上にうまくいってんな。


……こうして、僕はなぜか神様になってしまった。


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