親友
「やーやーこんにちは!」
「私の名はペルソナ」
「君も災難だね〜」
「仲間を一瞬で殺されるなんて、さすがの私も同情してしまうよ!」
ペルソナと名乗るその男は、口元を歪め、まるで悪ふざけでもしているかのようにニヤついていた。
その顔からは、同情の“ど”の字も感じられなかった。
「…」
「何かしゃべったらどうだい?」
「まぁ喋らないならそれでいいんだけど」
「私はそこのガキんちょを生き返らせることができるのにな」
「なんだと!?」
「やっとしゃべったか!」
「どうやったら生き返らせるんだ!?」
「まぁまぁ落ち着け」
「そこで取引をしよう」
「取引?」
「ああ、私は君にかなり興味がある。その不思議な雰囲気、表情、全てにおいて異質だ。
だから――私と親友になって欲しいだ」
「わかった!!」
「飲み込みが早くて助かるよ。生き返らせるのは早めのほうがいいからね」
ペルソナはまっちゃんの冷たくなった体にゆっくりと手を伸ばし、その腕の一部に触れた。
そして、どこか荘厳な口調で詠唱を始める。
「時を司りし神よ! 今だけ、時に逆らうことをお許しください! レディーレ」
青白い光がまっちゃんの体を包み、その体がゆっくりと――時間を巻き戻すように動き出す。
「あれ!? さっきまで私、森の中歩いてたのに!」
「少し戻しすぎたね」
「まっちゃん!!」
僕は思わず、彼女に飛びつくように抱きついていた。
震えていた。心が。手が。言葉が出なかった。
「よかった…」
「えぇっ?! 急にどうしたの!?」
「ていうかここどこ!? その人は誰!?」
僕は落ち着いた声で、まっちゃんに何が起きたのかを説明した。
「つまり、私はさっき死んで、今生き返ったってこと!?」
「そゆこと」
「…あ、あの、ありがとうございます!ペルソナさん!」
「いや、これは対等な取引さ。君がお礼を言う事は無いよ」
「それでペルソナ、親友になれとお前は言ったけど、具体的には何をすればいいんだよ」
「なら、君たちの冒険に私も連れて行ってくれないか?」
「ん〜そうだな、それぐらいはしないと対等な取引とは言えないな」
「わかった、いいよ」
「それはありがたいね!」
「まっちゃんもいいか?」
「ペルソナさんがいれば、とても頼もしいから嬉しいくらいだよ!」
「ならよかった」
――こうして、いろいろなことがあったけど、まっちゃんは生き返ったし、僕は魔法も使えるようになった。
仲間もできたし、なんだか冒険が本格的に始まった気がしてきた。
でも、それにしても――
この世界、少し残酷すぎない?




