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序章 第七話 ニューホーム

….この時はまだ知る由もなかった….この時すでに俺を好きになりかけていたことを…..?????

この時の俺が中学生や高校生ならまだしも、7歳だぞ?小学校低学年だぞ?子供として好きならまだしも、異性として好きになるのはおかしいと思うよ?….え?好きどころじゃない?いやいやいや….あー!もう! 第七話開始!


この豪邸こそエリスの家だ。まず注目すべきは、その敷地面積の広さ。縦と横がそれぞれ20m以上あるひとつの建物を母屋として、特大の蔵や和風庭園などなど、豪邸にあるような要素が全て盛り込まれたかのような、そんな家だった。そんなとこだからもちろん、セキュリティも高いのだろう。実際に、エリスの家の正門を中心に、周りには警備員の目が届かない場所がないようにしっかりと….しっかりと…..え?

「警備員がいないが?大丈夫なのか?」

俺が疑問に思ったことを先に口にしたのはスペルマータだった。そうだ。警備員が一人もいないのだ。これほどまでの豪邸に警備員がいないなんて、豪邸をそもそもあまり見たことがない俺でさえ思うのに。警備員がいないのであれば、家に誰もいないうちに誰かが忍び込んで家の中の物品を盗んで行ってしまうのではないだろうか?

そんなんでいいのだろうか?

「….ごめんね 金がそこまでないの」

金がないのに、なぜこの豪邸を持っているのだろうか?これほどの豪邸を用意するためには、相当な金がかかるだろう。普通の一戸建てでも、3000万円はくだらないだろう。これほどの豪邸をオーダーメイドで作るとなれば、1億円…いや5億円ぐらいは普通にするんではないだろうか?いくらここが中心地から遠い住宅街とはいえ、仮にも大都市なのだから、土地を買うのにもそれなりの値段はするはずだ。

「元々、この邸宅は私が買った物じゃなくて、ちょっとした理由で前の居住者から譲り受けたの。」

なるほど。しかしながら、まだ疑問は絶えない。買った物じゃないにしても、これほどの豪邸を所有者から譲り受けるには、やはり極めて珍しいことであることは間違いないし、無償ともなれば全く無いはずだ。もし本当だとすれば、その前の所有者は迂闊すぎるにも程がある。そんなのがこのような豪邸を所有できるほどの財力を持っているのだとすれば、世も末という物だろう。

「前の居住者が引っ越す時に、『この豪邸を自分たちで管理するのが大変だから、誰か建物だけでも管理してくれる人はいないか』っていうことで、譲ってもらったんだ。」

前の居住者は土地の税金だけ払って、その代わりここをしっかりと見守ってほしいということらしい。少なくとも、彼らが戻ってくるまではそうするように言われているとのことだ。ここまでの豪邸を土地の税金やその他諸々を払ってくれて、その代わりがこの豪邸の管理だなんて、ひどく気前のいい金持ちだ。感謝しなければ。

「因みに、ここにいるのはまだ俺とエリスの2人だけな。」

人1人雇う金さえもないということか。では、この大きい豪邸を管理するのには相当苦労するだろう。掃除も大変そうだし、この豪邸は建ってから10年以上経ってそうな見た目をしているから、ところどころ補修も必要なのだろう。

「そこで、お前たちにはここに住んでもらいたい!」

俺は別に、家族が見つかるまでは行くあてもないし、何よりまだ働ける年じゃないのでここに住むのは決定事項として、他の2人。特にスペルマータはどうするのかは少し知りたい。ここに住んでエリスたちと一緒に生活をするのか、それとも別なところに住んで今度こそまともに研究をするのか。

「….俺は警察に出頭する。そもそも、あそこで働いてた時点で悪事に加担してしまっているんだ。だから一緒には住めない。」

「マジで?スペ….随分大人になったな….」

スペルマータは警察署にレクスと一緒に行って、自分のやったことを自首し、証言をするという。実際、そうすればある程度刑は軽くなるだろうし、出所も早くなりそうな気はする。しかし、あの組織を壊滅させることができたのも彼のおかげと言っても過言ではないので、なんだかこの仲間からしばらく抜けるのも不安な気がする。

「じゃあ、ここに新しく住むのはとりあえず、ライトとイーグルってことでいい?」

「問題ない。」

しかし、俺たちの分の家具はちゃんとあるのだろうか?おそらくは前の居住者が使っていた家具やらなんやらは、既に別のところに移っている可能性が高く、これまでエリスとレクスだけが住んでいたということは2人分の家具さえあれば十分だっただろう。だから、俺たちの分の椅子や机、あるいは寝具なんかも買わなければならないはずだ。そんなことを考えていても仕方ない。まずは取り敢えず家の中に入ろう。

「お邪魔しまーす」

「お邪魔します じゃなくて、ただいまでしょ?」

そうか。それもそうかもしれない。実際、今しがたこの家の一員になったのだから、ただいまと言うべきかもしれないな。それはそうと、まず入って見えるのは広い玄関だ。しかし、広い以外に特に言うことはない。それはエリスたちに金が十分にないからだろうが、この豪邸に対して質素な家具で間に合わせている感じがする。玄関は狭い家のリビングダイニングぐらいありそうであったが、収納は必要最低限といったところだ。まあ、個人的にはそれも悪くない気がする。

「玄関入って正面に中庭があって、それを中心に左右で居住者の空間と、多目的な空間で分けてあるわ。」

「中庭ですか…..?庭というより、ビオトープに近いですね。」

ビオトープとは何ぞやと俺が質問すると、イーグルが説明してくれた。生き物が生息する環境を人工的に再現して、生物観察に使ったりするタイプの庭のことをいうらしい。ビオトープ作りをすることによって、生き物がどういう環境でどのように生活するのかを体系的に理解することができ、生物への理解が一層深まるのだとか。自分も少しそれに興味が湧いた。

「じゃあ、左へいこっか。こっちはLDKね。」

…..デカい!2人だけで住むには広すぎる大きさだ。テーブルは前の居住者が置いていったのか、それなりに高級そうな物が置いてある。全体的に白くて、黒いサシが所々に入っているツルツルとした石だ。名を大理石というらしい。やはりあんなところに閉じ込められていたのは損だったというわけか。知らないことがたくさんだ。キッチンはというと、アイランド型と呼ばれるもので、特にこの家のそれで注目すべきはその大きさ且つ、キッチンに施された様々なギミックだろう。

「このキッチン、地下にしまえるのよ!」

この家を建てた人は一体何を考えてこのシステムを作ったのか、少々気になるところである。そして、金が足りないとか言いながら、このキッチンにはいろんな調理用の道具が置いてあるようだ。冷蔵庫や電子レンジはもちろん、本格的なオーブンや、少し別のところに行けばピザを焼くような窯が設置されているのだ。窯とオーブンを両方置く必要はあるのかという疑問はあるが、きっとレクスとかが料理の趣味でもあるのだろう。

それから、LDKの周りにいくつかドアがあり、そのうちさらに左の方に進むドアの方へ行くと、いろんな部屋があった。エリスの部屋はそのドアのすぐ前にあり、LDKへアクセスしやすそうだった。

「ちょっとぐらいなら見せてもいいわ。」

ではお言葉に甘えて部屋の中を拝見させていただこう。部屋の中はというと、シンプルなのかと思いきや壁にはアニメやゲームのキャラクターなのだろうか、まだ幼い男の子のイラストがいくつも貼られていた。俺はよくわからなかったので特にリアクションはしなかったが、イーグルはその光景を見て「そうか つまりあなたはそういう人なんですね。…ショタコン…」といっていた。

「え?なんか言った?」

「いえ」

「そう?じゃあ…レクスの部屋は….あとにしようか。」

廊下を歩いていくと、謎の下へ続く階段があった。扉は金属でできていて、その前にバリケードが設置されている。

「気になる?入ってみる?」

「ああ 少し」

バリケードをどけて、金属でできた重い扉を開くと、その下には金属でできた階段が続いていた。それを降りていくと、現れたのは地下室だ。この地下室は主に物置として活用されているのだろうか、非常用の食料をしまってある部屋であったり、驚くべきことかな樽がたくさん置いてあったり、あるいは電子機器が置いてある部屋もあった。そして極め付けに、X線や顕微鏡を使うための部屋もあった。ここでどんな研究をするのかを尋ねてみるが、エリスは「それは…私にもわかんない。レクスに聞いてみたらいいと思う。」と言った。

大学にも研究室はあるはずだが、それでも足りない何かがあるのだろうか。あとでレクスに聞いてようと思っていた矢先、レクスが帰ってきた。

「あー ここはね 魔術用の道具を開発する場所だよ。」

「じゃあこの樽は?」

「こっちはね、ただの趣味の醸造。」

随分と金のかかる趣味もあるもんだな。もしかして金が足りないのはそれが理由なんじゃないか?

「じゃあ、右のエリアに行こうか。右のエリアは廊下があって、その正面に応接間、左の方に行くと茶室もあるよ。」

またとんでもない広さだと感心した。豪邸には必ずといっていいほど応接間は設置されているが、この家には茶室もあり、防音室もあり、食堂もあるようだ。しかし、どれもあまり使っていないようだが。

2階はというと、レクスの部屋と趣味用の部屋が色々あった。レクスの部屋にもお邪魔させてもらった。レクスの部屋は至ってシンプルで、少し変わっていることとすればマナの濃度が高いことだろう。それ以外は別に特筆すべきことはなかった。趣味用の部屋だが、エリスの方だけである。エリスは漫画やアニメが大好きらしく、小さい子供向けのものからちょっと小学生には過激なアニメのDVDまで、色々あった。

それはともかく、多目的エリアにはトレーニングルームがあるのと、鳥を買うための部屋があった。鳥は何を買っていたのかというと、大型インコであるコンゴウインコおよび大型のフクロウであるシマフクロウがそこにいた。

まあそんなわけで、これからここで生活するのかと思うと少しワクワクしてきたのであった。


「なんか…あんときゃ大変やったなぁ….」

「あの時?」

「9年前の話。あの頃が一番大変やったって。」





序章完結です。あらかじめいっておきますと、第一章はいきなり9年後に飛びます。その間の出来事は後々出てくるかもしれません。この話がこれまでで一番文字数が多いです。第一章に関しては序章の2倍のボリュームにはなってくることを予定しておりますので、お楽しみに。

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