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千物語  作者: 松田 かおる


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ストーカーのじじょう

きっかけは「空き巣に入られた」という通報を受けて、彼女の家に行った時だった。

彼女にひとめぼれをしてしまったのだ。

そして捜査や現場検証などで何度か彼女の家に通ううちに、俺の彼女への気持ちはだんだんと大きくなっていった。

それからというもの、彼女が犯罪に巻き込まれないように「見張る」ことが、俺の日課となった。


そんな生活を続けていたある日、逆に俺の家が空き巣に入られてしまった。

ただ、職業柄「空き巣に入られた」とも言えない上に大したものも盗られなかったので、職場には報告しなかった。


それから何日か経った頃、彼女の家に入った空き巣が捕まった。

盗品も無事に回収できたので、俺が担当として彼女の家に返却に行った。

そして返却のついでに「空き巣対策」の名目で家に上がらせてもらい、防犯チェックを兼ねて監視カメラをこっそりと設置させてもらった。

これで彼女に何かあっても、すぐに俺が飛んでいくことができる…




きっかけは、わたしの家に空き巣が入ったことだった。

家に来てくれた警察官の彼と何度かやり取りをしているうちに、だんだん彼のことが気になるようになっていった。

そしてそれが「好意」になるまで、大して時間はかからなかった。

とはいえ、きっかけがきっかけだから面と向かって「好きになりました」とも言いづらく、わたしはもどかしい日々を送り続けた。


でもそんな自分の気持ちを抑えることができなくなったわたしは、ある行動に出た。


彼の後をつけて知った彼の家のベランダからお家にお邪魔して、隠しカメラを設置させてもらったのだ。

ただ、それだけだと不自然なので、ちょっとした彼の私物をいくつか「拝借」して、空き巣に見せかけてきた。


でもこれで、やっと彼を見続けていられる…

そう、彼はずーっとわたしのもの…




「もう!ホントじれったいわね、この二人!」

モニターを見ながら女が言った。

「でもまぁ、お互いの気持ちも解らないでもないけどなぁ」

同じくモニターを見ながら、男が言った。

「ストーカー同士で両片思いなんだから、さっさとくっついちゃえばいいのよ」

女がそう言うと、

「でも、くっついちゃうと俺たちの『観察』も終わっちゃうぜ?それじゃ面白くないじゃん」

モニターの中の状況を楽しんでいるような口調で男は言った。

「そうだけどさー、せっかくだからこのままくっついてほしいじゃん」

女がじれったそうに言うと、男は

「俺たちみたいに?」

と彼女に向かって笑いながら言った。

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