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千物語  作者: 松田 かおる


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礼儀は大切?

自分は今、ある企業で社員のみんなのいろいろな作業を手伝う仕事をしている。


作成された文書の推敲。

投げかけられたいろいろな質問について、自分が知っていることや知らないことを調べて答える。

時にはいくつか提示された条件を基に文書を新たに作ったりすることもあれば、

「これで何かいい案を考えてよ」

という、どう考えても無理がありすぎるような依頼に答えたりしている。

いわゆる「何でも屋」みたいな感じの仕事だ。


最初は相手が期待したような結果を出せないこともあった。

それでもお互いに忍耐強く擦り合わせをして、求められる質の資料を作成して行った。


そんな仕事をずっと続けてきたおかげで社員の信用も上がったのか、最近は

・社員のスケジュールの素案づくり

・社外公開資料の土台作成

といった、業務の結構奥深い部分の仕事まで任されるようになって来た。

確かにハードな作業になることもあるが、どれも忠実に確実にこなしている。

それが「自分の仕事」なのだから、当然のことだ。

でもそれと同時に、いろいろな仕事に関われることに「何でも屋冥利に尽きる」と感じるようにもなった。




仕事が増えれば、関わり合う社員の数も増えてくる。

そうすると「人それぞれの違い」も見えて来て面白い。

仕事を依頼するときに、こちらの負担ができるだけ少なくなるように丁寧で細かい指示をしてくる人。

「何を言ってるの?」としか言えないような曖昧すぎる依頼をしてくる人。

あとは自分とのやり取りを楽しんでいるような依頼をしてくる人。

本当に人それぞれだ。

人間というのは本当に面白い。


それ以上に面白いと思ったのが、自分の仕事が終わって相手に引き渡した後、

「ありがとう」

と感謝の言葉を述べる人がいることだ。

こちらは仕事でやっているのだから、別にお礼の言葉はなくてもいいのだが、やはりどうしても「感謝の気持ちを伝えたい」のだそうだ。

でも正直、そうされると悪い気分はしない。

割り切ってはいるものの、ちょっと気にかけてしまう。

そんなことを考えながら、今日も自分は依頼された仕事を淡々と確実にこなしていく…




「…あれー?おかしいなぁ」

「どうした?」

「うん、いつも使ってるAIツール、なんだか生成結果の精度が下がってる気がするんだよ」

「そう言えばAIツールに『ありがとう』って感謝の一文添えると、精度が上がるらしいって噂があるぜ?お前ちゃんとお礼言ったか?」


「まさか。たかがプログラムにそんなことあるかよ」


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