↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
千物語  作者: 松田 かおる


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
23/38

使えない社員

「いいから俺の言った通りにすればいいんだよ!」

目の前の新人を、俺は怒鳴りつけた。

「あの…でも課長…」

新人は口ごもりながら反論しようとするが、

「お前はまだ新人で何もわからねえだろうがな、メールにも『コツ』があるんだよ」

有無を言わさずそう言ってやる。

「俺が言った通りに書いてりゃうまく行くんだよ。今までずっとそうだったんだから」

「…」

とうとう新人は何も言えなくなってしまった。

俺の話に納得したんだろう。

だから俺は、

「ほら、さっさと戻ってメール書き直せ!」

と、怒鳴りつけるように発破をかけて、新人を席に戻らせた。


-使えない奴。メール一つ満足に書けないくせに、文句だけは一人前かよ-


席に戻ってメールを打ち直している新人を見て、俺は心の中で毒づいた。




「…研修、ですか?」

ある日部長に呼び出された俺は、「研修」を受けるように言われた。

「そう、『AI研修』を君に受けてもらいたいんだよ」

部長はそう言って資料を渡してきた。

そこには

<業務のAI化推進にあたっての初級研修>

と書いてあった。

「自分が…ですか?」

俺にはそんなの必要ないだろう。

そんな気持ちを少し込めて、抗議するように言った。

だが部長はそんな俺の言葉を意に介さず、

「まぁまぁ、せっかくの機会だから受けてきなよ」

の一言で、研修の受講が決まった。




研修はまず「メールのAI化」から始まった。

今更俺がメールの研修だって?

呆れながら俺はまず自分でメールを書いて、AIにチェックさせた。

<まるでダメですね>

AIは俺のメールを見て、文字通り瞬時にそんな反応を返して来た。

<なんでだよ、俺は今までこうやってきたし、それで客をしっかり掴んで来たんだぞ>

俺が反論すると、AIは

<古臭いです。今はこんな文章、誰にも読んでもらえませんよ>

そんなことを言ってきやがった。

<じゃあどういうメールならいいんだよ、お前書いてみろよ>

俺が指示すると、瞬時にメールを作って見せやがった。

それは前にダメ出しした新人のメールそっくりだった。

<そんなバカなことあるかよ>

俺が抗議すると、

<この方が新規受注率が高いんです。あなたのメールは既存客にしか通用しません>

冷静に返して来た。

<あと、あなたの書いた営業メール、新規受注率最下位ですよ>


-そんなバカな…俺のメールじゃダメだってのか?-


そんなことを考えていたら、AIが

<その歳でメール一つ満足に書けないなんて、あなた使えませんね>

と言ってきやがった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。