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千物語  作者: 松田 かおる


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霊能者の悩みごと

「はぁっ!!」

気合い一発。

私は正面に座っている男性に向かって、掌を力強くかざした。

そしてしばらくの沈黙の後、

「…終わりました」

私が告げると男性は大きく息を吐き、

「ありがとうございました」

そう言って深々と頭を下げ、懐から分厚い封筒を取り出して差し出して来た。

「毎度あり」

私は営業スマイルを浮かべて、遠慮なく封筒を受け取った。




私はいわゆる「霊能者」として、生計を立てている。

霊視,除霊,その他もろもろ。

「霊」に関する様々な依頼を受け、報酬を受け取っている。

私の「仕事っぷり」はそこそこ評判らしく、客が客を呼んだ結果、かなり忙しい日々を送っている。

客が増えればその分報酬も増え、そのおかげで「そこそこ贅沢な生活」を送ることもできるようになった。


あと、これは内緒なのだが、依頼元は人間とは限らない。

時折「霊そのもの」から相談や依頼を受けて、仕事をすることもあったりするのだ。

これは私の「仕事のスタイル」に関係しているのだろう。


ひとくちに「霊」と言っても、みんな同じではない。

悪い霊もいればいい霊もいるし、それこそ「人畜無害な普通の霊」もいる。

私はその辺を見極めて対応しているので、霊の方からもそれなりの信用を得ているのだ。

とは言っても「悪い霊」は退治しないといけないので、そこはキチンと対応している。

さっきの男性なんかがそうだ。




そんな私なのだが、実は悩みがある。


ここ最近、どうにも体調がすっきりしないのだ。

動けなくなるほどではないのだが、倦怠感や体の節々の痛み、頭痛に寝不足眩暈に悪寒。

そんな体調不良に悩まされているのだ。

体力が落ちているのかと思って栄養のあるものを食べても、よくなる気配がない。

むしろ悪くなっているようでもあるのだ。


今までに退治した「悪いやつら」に復讐されているのだろうか…

困ったことに自分自身の霊を見ることはできないので、そこら辺の「普通の霊」に私のことを見てもらったが、

「わかんない」

とのことだった。


原因が思いつかない…


もしかしたら大病の予兆かもしれない。

なので最近忙しくてご無沙汰していた「人間用の医者」に行って、検査してもらうことにした。





「結果が出ました」

医者が神妙な表情で言った。

私も真剣な表情で向かい合うと、

「贅沢病です。どれだけ贅沢な生活を送ってるんですか?」

医者は真っ赤な結果票を私につきつけながら、あきれ顔で言った。

そして医者の頭の上にいる霊も、一緒にあきれ顔をしていた。

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