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千物語  作者: 松田 かおる


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12/15

よくあるOLの話

「本当にミスが多いわね」

-初めてやる作業だから、仕方がないじゃない-

「ずいぶん時間をかけているのね」

-やり方を教えてくれてないから、手探りなのよ-

「これっぽっちの仕事も片付けられないの?」

-あなた達の分の仕事もやらされているけどね-


先輩社員はこうして、わたしを毎日いじめてくる。

そのたびにわたしは「ハァ、スミマセン」と、感情をあまり込めてない口調で返事をする。




兄の紹介で入ったこの会社で仕事を始めて半年。

「紹介」で入社したのが気に入らないのか、わたしを目の敵にする先輩社員が何人かいる。

暴力に訴えてくるわけではないので、あまり気にしていない。

だけどそのたびにいちいち手を止めさせられるのと、相槌を打たないといけないのが面倒だ。

ちなみに彼女らはスマホの操作や爪の手入れに忙しく、その合間にわたしをいじめてくる。

ずいぶんと暇なものだ。


とはいえ黙っているのも何なので、上司に相談してみた。

見事に黙殺された。

そしてその後、彼女たちのいじめも少しパワーアップしたようだった。




そんなある日。

『飯でも食いに行かないか』

と、兄からメールが入った。

わたしは二つ返事でOKして、少し残業してから待ち合わせの居酒屋に向かった。


「最近どうよ?」

兄が単刀直入に聞いてきたので、わたしもありのままを兄に話すと、

「何だそりゃ?」

と、少し呆れて言った。

「まぁ、別にわたしは気にしてないけど、このままなのはどうかなぁ、とは正直…ね」

わたしがそう言うと、兄は

「…だったら辞めるか?」

と、また単刀直入に言ってきた。

「は?」

思わず聞き返すと、

「人間も仕事もできてない奴らの下にいても、お前のプラスにならんだろ」

兄は涼しい顔でそう言って、

「俺のことは気にしないで、お前の好きにすればいいよ」

と続けた。

「…せっかく紹介してもらったのに、なんかごめんね」

わたしが謝ると、兄も

「こっちこそごめんなぁ、変な所紹介しちゃって」

と、逆に謝ってきた。




結局わたしは会社を辞めて、改めて兄に紹介してもらった別の会社へ転職した。

今度はとてもいい会社で、気持ちよく仕事をしている。

兄には感謝しかない。


ちなみに前の会社の先輩と上司は、兄と知り合いの「上司の上司」から結構怒られたそうだ。

そして社内での風当たりが「『そこそこ』強くなった」と、兄から聞かされた。


でも終わったことだし、特に何も感じなかった。

ただ、『爪の手入れ時間が減って大変だろうなぁ』とは思ったけれど。

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