よくあるOLの話
「本当にミスが多いわね」
-初めてやる作業だから、仕方がないじゃない-
「ずいぶん時間をかけているのね」
-やり方を教えてくれてないから、手探りなのよ-
「これっぽっちの仕事も片付けられないの?」
-あなた達の分の仕事もやらされているけどね-
先輩社員はこうして、わたしを毎日いじめてくる。
そのたびにわたしは「ハァ、スミマセン」と、感情をあまり込めてない口調で返事をする。
兄の紹介で入ったこの会社で仕事を始めて半年。
「紹介」で入社したのが気に入らないのか、わたしを目の敵にする先輩社員が何人かいる。
暴力に訴えてくるわけではないので、あまり気にしていない。
だけどそのたびにいちいち手を止めさせられるのと、相槌を打たないといけないのが面倒だ。
ちなみに彼女らはスマホの操作や爪の手入れに忙しく、その合間にわたしをいじめてくる。
ずいぶんと暇なものだ。
とはいえ黙っているのも何なので、上司に相談してみた。
見事に黙殺された。
そしてその後、彼女たちのいじめも少しパワーアップしたようだった。
そんなある日。
『飯でも食いに行かないか』
と、兄からメールが入った。
わたしは二つ返事でOKして、少し残業してから待ち合わせの居酒屋に向かった。
「最近どうよ?」
兄が単刀直入に聞いてきたので、わたしもありのままを兄に話すと、
「何だそりゃ?」
と、少し呆れて言った。
「まぁ、別にわたしは気にしてないけど、このままなのはどうかなぁ、とは正直…ね」
わたしがそう言うと、兄は
「…だったら辞めるか?」
と、また単刀直入に言ってきた。
「は?」
思わず聞き返すと、
「人間も仕事もできてない奴らの下にいても、お前のプラスにならんだろ」
兄は涼しい顔でそう言って、
「俺のことは気にしないで、お前の好きにすればいいよ」
と続けた。
「…せっかく紹介してもらったのに、なんかごめんね」
わたしが謝ると、兄も
「こっちこそごめんなぁ、変な所紹介しちゃって」
と、逆に謝ってきた。
結局わたしは会社を辞めて、改めて兄に紹介してもらった別の会社へ転職した。
今度はとてもいい会社で、気持ちよく仕事をしている。
兄には感謝しかない。
ちなみに前の会社の先輩と上司は、兄と知り合いの「上司の上司」から結構怒られたそうだ。
そして社内での風当たりが「『そこそこ』強くなった」と、兄から聞かされた。
でも終わったことだし、特に何も感じなかった。
ただ、『爪の手入れ時間が減って大変だろうなぁ』とは思ったけれど。




