22.容赦なき警察の発砲、一方的な射殺
「総長、どうします!?」
「動くな! そして喋るな!」
危険を承知で先頭に立つ覚悟を決めて拳銃を構える警察官がいた。そして後続で他の警察官も拳銃を構えて事務所前で再装填を行っていた高月に銃を向ける。
「油断するな! 他の奴も凶器を持っているかもしれない! 注視しろ!」
現場に現れた警察官は総勢5名だ。その中で一番端にいる警察官が階段側に向けて指によるジェスチャーで合図した。
そして、階段側に隠れていて高月の猟銃の射程範囲外にいる警察官は無線で市の警察署に連絡をした。
「犯人は猟銃を持っており、取り巻きの暴走族6名も凶器を持っている可能性あり。至急応援を要請する」
刀を持っているという事で通報が入ったのだが、犯人が猟銃まで持っているとなれば話が別だ。
そして先頭にいる警察官は再び警告する。
「持っているものを、銃を含めて全て捨てろ!」
そう言われて高月はゆっくりとしゃがみ込んで猟銃を床に置こうとした。
だが高月は内心こう思っていた。
(こんなところで捕まるかよ。もうここまで来たらムショ行きだ……ここでサツ全員殺って逃げる! 銃に弾は全部は入れてねえが三発は入れた。三発もあればここのサツ全員殺れる!)
すでにまともな精神状態ではなく、ムショか自由か、殺るか殺られるかといった半ばパニック状態に近かった。
しゃがみながら床に銃を横に寝かせる形で置き始めた。銃口が斜め上にあり、その射線が警察官に向いた瞬間。
高月は身を一気に斜め横へと傾けるが。
瞬間、発砲音がビル中に響き渡った。
「うぐうううぅぅぅうう! いっ、痛っぇえぇぇ……ッッ!」
身悶えしたのは高月だった。高月が引き金を引く直前、既に先頭の警察官が拳銃の引き金を引いていたのだ。
銃弾は高月の手に当たり、とても銃を再び撃てるような状態ではなかった。
追い打ちをかけるように先頭の警官は高月に近づくなり、もう片方の手にも銃弾を撃ち込んだ。
「痛っえぇぇええぇぇぇぇぇええええええ! もう撃たなくて良いだろ……俺は撃てねぇよ!」
「黙れ!」
警官は猟銃を蹴り飛ばし、既に撃ち抜いている高月の手を踏みつける。
「ぐうぅぅぅあああああぁぁぁぁあああぁぁぁぁぁあッ! なにしや……がる! お前ら……こいつらを……殺せぇええ……っ!」
高月は弱々しく舎弟の男たちに言うが、こんな状況を見せられた舎弟は〝動くと自分が撃たれるかもしれない〟と考えてしまう。
だが、そんな考えは的中した。
再び発砲音がビルに響き渡った。
「なん……で?」
腹に銃弾が当たった舎弟の一人がそのまま前のめりに倒れた。
「なんだよ……動いてないのに……なんで撃つんだよ!」
そう声を上げた舎弟だが、その直後再び警官の一人が拳銃を発砲した。
「もう……無茶苦茶だ……!」
反論をした舎弟も前に倒れそうになるが、膝をついてどうにか耐える。
舎弟達も凶器を持っている可能性があるとは言え、明らかに常識の範疇を超えた警察の対応に舎弟達は発狂寸前だった。
「なんだよ……俺達を……銃使ったからって…………殺すのかよおおおおおッ!」
そう絶叫した舎弟の一人は、察した。
言い放った瞬間の事。帽子の影の加減ではっきりとは見えなかったが、先頭の警官の頬が薄っすらと上がった様に見えた。
それを見た舎弟は静かに、目を閉じた。




