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神代兵器の自由意志  作者: ぶくっと醤油
1章
31/32

31 何かを感じる

「おい ちゃんと竜王を帝都に放ったのか!?遠目に見ても被害を確認できなかったぞ!」

「それがどうもおかしいのです おそらく外壁付近で突然生体反応が消えたのです」


帝都から向かって南にある山岳 その麓にある小汚い小屋

一方は豪奢な法衣を纏うもでっぷりとした腹が目立つ中年の男

もう一方は全身ローブに身を包む優男のような青年

中年の男は急な事態に戸惑う青年にむかって怒声をあげ事態の報告を急かす

かく言う青年もあまりに急すぎる事態の変化に戸惑うばかり

中年の男の怒声も相まってまともに会話ができる雰囲気ではなかった


「竜王だぞ!?たかが数十分程度で死ぬわけないだろう!それにあれは竜王の中でも上位の存在なのだ!分かっているのか!冒険者風情が数百人出張っても勝てない存在だぞ!?それがどうして急に死ぬと言うのだ!」

「そ...それは...」


数分前にアリサが討伐した竜王を監視していた青年にとっても竜王が突然死ぬとは思えなかったのか戸惑うばかりで会話が続かない


「もういい!さっさと新しい協力な魔物を捕えて帝都を襲え 竜王が突然死んだ原因の解明も急げ!俺がどれだけ金を払って雇ってると思ってるんだ」

「は...はい...」


中年の男は多少は溜飲を下げたようで青年に吐き捨てるように次の指示を出す

青年は雇われの身で強く言い出せずに萎縮して従うしかない

それに青年自体竜王の生体反応が消えた原因は分かってるのだ


「あの美貌に真紅の大剣 間違いなく血濡れ姫だ...それにしてもなんだあれ...本当に人間なのか...?」


彼は知っている

最近冒険者の間で噂の女冒険者の事は当然として基本的なプロフィールは抑えている

それでも最強の魔物と言われる竜王をたった3回攻撃しただけで倒すなんて青年にしたら化物もいいところだ

見た目と裏腹に長く生きる彼は冒険者間の情報に敏い

竜殺しと言われた冒険者や地崩しと呼ばれた冒険者などなど人族の域を超えている人物はいる

だとしても竜王をたった3振りで殺す人間なんて彼は見たことがない

今青年の心を支配しているのは困惑でも驚愕でもない

最強と言われた絶対的強者を呼吸するかのように蹂躙した彼女に対する

恐怖だ






「むぅ...」

「どしたの?」


闘武聖祭前日 竜王討伐翌日の昼

勇者一行を監視しているはずのバグルスと昼食をとっているところだ

けれどこの体は食事を必要としないので紅茶を飲んでいる風にしているだけだったりする

でも目の前のバグルスはと言うとパンやら野菜を煮込んだスープやら肉を贅沢に使った料理やらを3人分は平らげるだけじゃ飽き足らずホットケーキや帝国だけでしか売られていないシャーベットやプリンなどのスイーツを制覇しようとしている

バグルスのクレアシオンとして異端地味た行動は多々あるがここまでとは...

それよりもだ


「昨日の竜 なんかおかしかったんですよねぇ...」

「そう?具体的にはどんな感じに」

「人間ぽかったと言うか...例えるなら憑依ですかね」

「あのレベルの竜にかい?必要あるのかな」


ないとしか言えない

仮に国家転覆なら現代では強大な力を持つ竜王クラスに憑依するのはまぁ分かる ブレーキが必要だからだ

それでも人族国家最大戦力を誇る帝国の人族領各地から強者が集まるこの時期に行動するのは愚かなのか傲慢なだけなのか

それに私達が実質魔人族を掌握したことは知らずとも未だ戦争中なのに国家転覆なんて大事件を起こすなんて人族としてはどうかしている

理由がわからない

人間誰しも欲がある だとしても竜王クラスを動かす程の大事を起こすという事は少なくない影響を及ぼす

今の人族にはそれが多大な影響になる事ぐらい分かるはず


「人の欲で動いてるって感じがしませんね」

「アリサの推測はいつもハズレだから僕は反対を行くよ」

「調べるんですか?お仕事は?」

「ふっふっふ...僕を誰だと思ってるんだい?勇者ならアリサがチームを組めばいい」


一応理にかなっている

バグルスに任された監視系の仕事は陰に隠れてコソコソするよりも堂々としていた方が怪しまれない事が多い

幸い勇者から尊敬の念を集めているので私が変わった方が多くの情報を集めれるし上手くいけば行動を操れる

だとしても...


「嫌です」

「どうしてぇ?いいじゃん減るもんじゃないし」

「1人の方が楽なんです 余波でうっかり殺しちゃうじゃないですか」

「そこ...?気にするとこそこなの...?」


こればっかりは意識しきれないのでどうしようもない

そもそも私は戦闘特化故に演算能力がそんなに高くない

それだけでなく基本性能が攻撃力に極振りされているからどんなに加減した最低出力でも充分脅威となる

常に超最低出力を維持するだけでもやっとなのに余波まで考慮するとしたら私の演算能力じゃ足りないのだ

衝撃波の向きならギリギリ計算可能だけれど衝撃による地割れや風の流れは制御できない

たかが地割れ たかが風と侮ってはいけない 余波と自然を利用しての攻撃はクレアシオンでは常套手段なのである

私の場合その火力の高さ故自然に及ぼす影響が大きい

昨日の竜討伐でも刃が翼の半ばまでしか届かなかったのがちょっとした真空波で完全に切断出来たし四肢を切った時も衝撃で地面にちょっとした窪みが出来たのだ

地形を容易く変化させる大威力の余波 竜と戦うよりも私と共に戦う方が危険だ


「いいじゃんか それにもう申請送ってたし」

「は?」

「ちょっと匂わせたら目キラキラさせて食いついたよ」

「は?」

「てことで会計済ませておくから 僕はここら辺で」

「は?」

「勇者の監視よろしく!」

「あの野郎...今度見かけたら〆ますか それ以前にこの量食べて払えるお金はどこから...?」


まったく身内ながら謎が多い男だ





「勇者ですかぁ...」


神代では勇者なる存在を召喚するという術は私達の主である創造神によって禁止されていた

他の世界の住民にこの世界の命運を委ねるのは無責任にも程があると発明された次の日から使用したら罰が下ると公表していた

創造神はこの世界では最高位の神 故に神代では勇者召喚という術は禁術として闇に葬られたはずだった

そんな物を復活させるなんて恐れ知らずと言うべきか...

それでも他種族と比べて特徴がない種族として元から強大な力を持つ同族を召喚出来るというのは余程大事なことなのだろう

それに神の名を利用することで彼らにとって都合のいい状況を作れるのもまた事実

細かい説明は省くがその実態は元の世界から異空間に取り込まれ肉体を分解 魂を抽出し魔力によって生成されたこちらの世界の肉体に入れ替えられただけ

現代では扱う人が魔人族しかいない魔術の集大成なだけだ

まぁ何も知らなければやってる事は神の御業のように見えるだろう

結局人間にとって周りが真似出来ない事を身に付ければそれだけで神のなんちゃら言われるのだ

勇者召喚も所詮その程度だという事


「ギルドの前にいると言われましたが...面倒ですね」


召喚されたのは''勇者'' ''聖女'' ''賢者''の格を有する3人とおまけの3人

格というのは簡単に言えば強さの最低値

魂に直接刻み込まれた自分の力を肉体に反映出来る最低値の事で名のある格を持つ人は誰もが高い能力を持つ

''勇者''なら攻撃力 防御力 俊敏力 魔力量などなど基礎能力が全て高くなるがその代わり大きな上昇はしないバランスの取れた能力値となる

''聖女''なら補助系魔法や魔力制御に特化した能力値で''賢者''なら攻撃系魔法と魔力量の上昇

肉体が成長するごとに格による影響は大きくなり12から20歳の間は1番影響度が高いらしい

リーリエの推測では彼らは17か18 丁度格の影響が1番高い時期だ


「到着っと...明日は祭りだから早めに装備の点検をしておきたいんですけど...」

「お こんにちはアリサさん!」

「どうもユサハさん 何やらチームを組みたいとの申請があったのですが」

「はい アリサさんはいつもソロだと聞いたので」

「ほぅ...いいですよ 断る理由もないので申請は受けておきます」

「あ...ありがとうございます!」


これでも暗殺者...なんですよね

改めて見てみてもやはり男の子ではなく男の娘という印象が強い

それに暗殺者と言われても信じられないような純粋な笑顔

暗殺者と言えば冷静で冷淡で常に2手3手先を考えて行動するような知恵者だと思っていたのだけど彼を見ているとどうもそうは思えない

仕事とプライベートでは違うのだろうか?

やはり人間はよく分からない


「そういえばアリサさんは明日は大会に参加するんですか?」

「もちろん そのために帝都に来ましたから」


闘武聖祭の由来は建国前にこのシャリデスト帝国の皇帝を決めるために当時の実力者達が決闘を行った事らしい

そして当時争った実力者達と勝ち残った現皇帝の先祖に敬意を評して開催される その名も聖闘大会

それが私が帝国に来た理由だ

優勝者には莫大な優勝賞金と最強戦士勲章という名誉勲章が貰えるという

この勲章を授けられると当代限りとはいえ爵位が与えられると同時に人族最強という証明になるらしい

これを入手出来ればSランク昇格確定で顔も売れるし人脈も増えるし人族最強というフレーズで周りから信用も得られる

隊長から受けた任務である私達クレアシオンの強さを堂々と披露出来る表の顔を作るには最適だろう


「アリサさんが出場するなんてこれは荒れますよ...今年は有力者揃いらしいですからね」

「ユサハさんは出場するんですか?それとタメ口で大丈夫ですよ」

「分かった アリサさんもタメ口でいいよ それと俺も出場するよ それに克も」

「私はこれが素なので マサルとは確か昨日一緒にいた男の子でしょうか?」

「そうその人」


大鍔 克は確かおまけとして召喚された1だったはず

なのに攻撃力は推定でも目の前のユサハを超えていた

おそらく彼も格持ち 見たところ攻撃力だけが突出していたので多分''怪力''でしょう


「これは楽しみが増えました では私は明日の準備もあるので申請を受理したら宿に戻ります」

「分かった それじゃまた明日!」

「はい 初戦で当たらないことを祈りますよ」

「負けないからな!」


彼には悪いけれどこれも任務の内

それに現代での有力者と呼ばれる人達がどれほどなのか知っておくことも必要でしょう

申し訳ないけれど様子見として中半出力を出すことは確定なのでこの大会既に出来レースなのです

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