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女性を助けるため、暴漢を殺めてしまい全てを失ったが、助けた女性が「今度は私が…」と手を差し伸べてくれた。  作者: nayaminotake


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第5話

滝川さんと角田さんとの接面を追え留置所の自分の部屋へと戻る……


「まさか角田フーズの社長令嬢とはな…」


角田フーズとは国内最大の総合食品メーカーだ、大手スーパー、コンビニ、飲食店、冷凍食品、インスタント食品、牧場、農場、傘下のグループ企業を数えればキリがない


まさに食における日本のドンというべき企業


そんな巨大グループのトップの娘が今さっきまで目の前に…


(もしかしたら、苦労しなくても再就職先を―――)


俺は邪な考えを振り払うように頭を振る


「無実が証明された後の事は追々考えるとしよう」


そう口にしながらも、角田さんが連れてきてくれた滝沢先生という弁護士は非常に優秀みたいだ


「まずは一安心…次に春香が面会に来てくれたら優秀な弁護士先生がついてくれるからって安心させてあげよう」




―――初公判の日が決まり、滝川先生や角田さんは接面のため何度か面会に訪れてくれたが、肝心の春香が以降で面会に訪れることは無かった



俺は、不安を抱えたまま初公判に臨む


―――が


「ど、どういう事ですか!?」


「どうと言われましてもねぇ」


俺は代理を名乗る室井という名の初老の弁護士に


『滝川は、貴方の弁護に立つことが出来なくなったので私が代理で弁護を務めます』


と、顔を合わせたとたん伝えられ


訳を聞こうにも「秘匿性の高い情報」とか良い訳される始末


「む、室井さんだっけ?!今日が初の顔合わせで俺の弁護が出来るの!?」


「……気に入らないなら断って頂いて国選の弁護士にでも依頼されたら如何ですか?」


「くっ」


初公判の日を後ろにずらせば、拘留される期日が伸びるだけ……


「俺の無実は揺るがない訳だし……お、お願いします室井先生」


「はぁ―――受けるんですね、わかりました私も仕事なんでね…」


「……――」


こうして初公判は幕を開けた


まずは検察側が起訴状を読み上げる


「被告人、鳥居良彦は深夜の公園にて酒に酔った勢いで、住所不定のガド=マウイ氏54歳の顔面を殴り倒し、転倒させ。その際にマウイ氏は後頭部を岩で強打し死亡」


「診断結果によれば頭蓋骨骨折と脳出血によるものと判明」


「その際に偶然マウイ氏と一緒にいた女性、角田真理氏24歳を助けたと供述してますが、検察の掴んでる証言によれば被告人は深夜の公園にいわゆる「ホームレス狩り」をするために訪れ最初からマウイ氏含めた住所不定者に危害を加えようとしていた事は明白、よって我ら検察は鳥居被告に懲役15年を求刑します」


「くっ……」


今この場では発言権がないので大人しく検察の言い分をきく


次に被告人質問だ、ここでは俺の氏名、住所、職業などの確認が行われる。勿論正直に答えた


そして一番重要な罪状認否…


裁判官が被告人席の俺へ向け


「被告、鳥居良彦、貴方はガド=マウイ氏の殺害について罪を認めますか?」


「いえ、私には殺意はありませんでした、むしろマウイ氏によって襲われていた角田真理さんを助ける為の行動で誇れる行為だったと自負しています」


ザワザワザワザワ………


俺の認否の回答に傍聴席からは驚きと蔑みが入り混じった雑音が聞こえて来た


カンカン


「静粛に」


裁判長がガベル(木槌の事)を叩き静かにするように促す


「では、裁判官、検察官、弁護人集まって……」


裁判長の周りに集まったメンバーで何やら打ち合わせが始まった


「……では、その予定で」


裁判長が短く口にしたその言葉だけがやけに耳に残る


「では、初公判はこれにて閉廷とし、次の公判は2日後とします」


カンカンとガベルを叩き閉廷を告げる


ザワザワと身勝手な感想を口にしながら傍聴人が退廷していく


検察の連中は、何やら打ち合わせをしながら此方を一瞥することなく奥の部屋へと退廷していった。


「…鳥居さん、先ほどの態度はいただけませんな、裁判官への心象が悪くなりましたよ」


室井弁護士は俺の近くでそう呟くと溜息交じりにヤレヤレと首を振った


「なっ!?私は事実を述べたまでです!」


「事実…事実ねぇ」


俺の弁護士であるはずのこの室井という老人は俺のことを全く信用してない


「いやいや、滝川先生からこれまでの接面でのやり取りの資料を引き継いでるんでしょ?滝川先生は角田さんの証言があれば十分に勝てると言ってくれましたよ!」


「たしか角田真理さん…でしたか、確かに滝川法律事務所は角田フーズと顧問契約をしてますね」


「何が言いたいんですか?滝川さんが角田さんの前で見栄を張ったとでも言いたいんですか?」


「そこまでは申してませんが…滝川弁護士が優秀なのは認めますよ、今の法曹界の若き女王なんて仇名がついてるほど彼女の勝率は高いですから」


「まぁ逆に言えば、そんな彼女が途中で貴方の弁護を降りたのは「勝つ見込み」が薄くなったから…とも考えれますけど?」


「……俺を負けさせる気ですか」


「そうは申してませんよ?私も一応は弁護士の端くれ、途中で押し付けられたとは言え仕事は仕事、きちんとやり遂げますよ」


「・・・・・・・」


「さぁ我らも次の公判に向け出来ることはしておきましょう」


「・・・はい」


こうして、俺の初公判は終わった…だが、2日後に控えた次の公判に不安が募る


(大丈夫……大丈夫だ、角田さんが証言してくれれば……)










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