にしきが結婚!?
結論、にしきは、人魚マニアの男性と見合いをすることになった。
今、父も母もいない昼下がり。スーパーの品出しパートから帰ってきたにしきは、おはぎと話をしたく、水槽を指で軽くコンコンとおはぎに合図をし、水槽から出てきてもらうことにした。
人魚の姿から人間の姿(中年に見える女性)に化けているおはぎとにしきは居間でにしきの用意した、インスタントコーヒーを飲みながら話をしていた。
インスタントコーヒーは、ブラックで苦かったため、おはぎは顔をしかめた。
「おはぎには苦いかも…牛乳入れる?」
「うん」
結局おはぎのコーヒーは、牛乳を入れて、砂糖も入れた。にしきは、コーヒーはブラックで飲んでいた。
にしきは帰って来るときに自身の働いているスーパーで買ったビニール状の袋に入った198円のクッキーわずか数枚を2つの皿に平等に分けて入れた。ちょうどクッキーの総数が偶数だったため割り切れた。そして1つを自分、もう1つをおはぎの方に置き、テーブルを挟んで椅子に座って話をした。クッキーは1人5枚ずつだったようだ。
コーヒーとクッキーだ。これら合わせての飲食は旨い。
「実は今度見合いをするんだけど、相手が人魚マニアなの。何だか嫌な予感がするから、おはぎも人間に変身して一緒についてきてくれる?」
「いいわよ。この姿自称27歳でいけるかしら?」
おはぎが冗談めかして言った。どうみても20代には見えない。
「私の友達で、自称30代後半という設定にしようか」
とにしきが提案した。
「了解!にしきちゃんの将来の夫になるかもしれない男性と会うのだから、私もちゃんとした身なりで行かなきゃね」
おはぎが笑って言った。にしきは複雑だった。にしきも高校を卒業してから27歳になる今に至るまで、同級生や知人からの紹介や、一応数々の男性とお付き合いをするチャンスはあったが、ことごとく駄目であった。付き合うまでいかないことが多かったし、付き合えたと思っても相手にすぐに他に好きな女性が出来たり、障害が発生したりと惨敗続きでそちらに関しては縁がないものだと、にしきもにしきの親も諦めていたのだった。にしきの両親も、自分達がいなくなった後にもにしきが1人で生きていけるようにと考え始めた矢先に、この話である。親の知人の紹介で、にしきが人魚部だったことを聞き付けて是非とのこと。
今回の人魚マニアの男性も何故今!?、というわけだが、何しろこの世界は金魚が人魚のパラレルワールドである。何が起こるかわからない。人魚マニアという位だから、最近ペットショップで見たような【人間から作った人魚】も集めているに違いない。おはぎのこともコレクションに加えたがるかもしれない。そんな複雑な気持ちになりながら、見合いの日が近づいてきた。




