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02 異世界から来たゴブリンは、初めて人間と出会う

短編作品「逆にゴブリンがこっちの世界に転移してきたら」を分割したバージョンです。

内容は変わりありませんが、少し読みやすくなると思います。

(短編バージョン)https://ncode.syosetu.com/n6469ji/

始まりは、N県の山奥に住む、ぽつんとした一軒家だった。


勇者の眩い光を纏った渾身の一撃を食らった名も無きゴブリンは、気が付くと山林の中に倒れていたのだ。


辺りをいくら見渡しても、知った風景でも無ければ、自分を吹き飛ばした勇者も居ない。

ゴブリンは非常に困惑したが、大きく鳴った自身の腹の音に、どうでも良くなっていた。


ゴブリンが少し歩くと、すぐに民家が見付かり、農作業に勤しむ若い夫婦(つがい)が、仲睦まじく談笑する様子が目に入った。

それがゴブリンの目には「油断している獲物」に映ったのは、言うまでも無い。


その日の夜は、ささやかにしておぞましい宴であった。


女は両脚の腱を切られ、逃げることも許されず一晩中ゴブリンの慰み者にされた。

彼女の亭主については、詳しい説明を割愛しよう。見ただけで吐き気を催す悲惨な状態で、ゆっくりと息絶えた事だけ伝えれば、あとは想像に任せるほうが、良さそうだ。


ここで、人類にとって幸運がふたつあった。それは、この夫婦が比較的大きな農場を営んでいた事と、その農作物が収穫期だった事だ。

女の腹を喰い破って産まれたゴブリンは六匹だったが、彼らが飢えて山から降りてきていたら、平和な村落は瞬く間にゴブリンの生産工場と化していただろう。


そうならずに済んだのは、七匹のゴブリンが食いつなぐに十分足りうる食料がそこにあったからだ。


事件が発覚したのは悪夢の宴から一ヶ月後の事である。


移住してきた若い夫婦が連絡が取れなくなり、地元の男が様子を見に行った。

だが、その男も連絡が途絶えてしまったことから、地元の猟友会が出動したのだ。


結果から言えば、生け捕られたゴブリンは三匹で、四匹は猟銃にて命を落とした。

焦った猟友会の一人が発砲し、仲間もつられて発砲した結果だ。


最初に発砲した男は、そこに立てられていた案山子(かかし)を見た途端に悲鳴を上げたと言う。そして、その悲鳴に呼応するかの様に猟友会の一団に向かって飛び掛かってきた、緑色の猿のような生き物に一堂は驚き、咄嗟に発砲したというのが事の次第だ。


生け捕った三匹と、四体の死骸は国の研究機関に送られた。

※登場する人物はすべて架空の人物であり、特定の人間を揶揄するものではありません。

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