要塞戦
「来たな」
「はい」
「来た奴は全員燃やして返り討ちにしてあげるわ!」
彼女達の視線の先には魔族の戦闘者がおよそ5000、あまりに絶望的な風景だ。なんせ此奴らが本国セイクリッド神聖国に上陸すると間違いなく半壊する。それほどまでの脅威だ。
「本当に魔族の総数が少なくて良かったわね、じゃないと私達が産まれる前には世界には魔族しか残ってなかったわ」
「本当にそうですね、では行きます。〈浄滅の聖矢〉」
神々しい羽がリンナの背中から生え、頭には天輪が浮かんでいる。その様相はさながら天使のように美しく、見る者を魅了する。大きな聖弓から放たれた最大出力の聖矢は音速を超え魔族達の元へと飛来する。
ドガーーーン
遠方で爆発が起こり煙が巻き上がる。
そこへ追い打ちをかけるため、ララが空を飛翔して全身から白い炎を解放する。その威容は太陽の女神と錯覚してしまうほどに美しい。
「〈ホワイト・サン〉」
空に純白の小型の太陽が浮かぶ。それは存在するだけで頭を垂れそうになる圧倒的な神々しいオーラを纏っている。
「シュート!」
太陽が魔族達へと迫る。奴等は急いで全員が防御魔法と結界を構築。さらに全員が防御魔法と結界の展開に成功するという〈条件〉を満たした事により、威力を三分の一に抑える防御結界が展開される。
ゴォォォ――ズドォーーン!!
辺りの一切が炎上し、巨大な爆発が起きる。
「むぉ……」
(まさかここまでとは思わなかったぞい……つんよ)
それを見たガルド隊長は驚きを通り越して最早引き気味になっている。
だが奴等は猛者中の猛者、全員が生還する。とはいえあれ程の強烈な先制攻撃を食らった。そのダメージは軽いものでは無い。そのダメージを見たリンナはライアから貰ったボタンを押す。すると奴等の敵陣から爆発が何度も起こる。
「上手く行ったようですね」
「そのようね」
ライアによって支配された『アグニ』が敵陣で自らの固有能力〈爆弾魔〉を使用し仲間を吹き飛ばしている。明らかに向こうは動揺して陣形が崩れている。そして混沌とした敵陣に更なる地獄《援軍》が投入される。それは人間の兵士約5万、要塞の稼働に必要な人数以外全員戦地へと投入した。
魔法使いが敵の足止めや目方にバフを使用し、前衛が敵の息の根を止めていく。兵士達が高度な連携を取り魔族達を追い詰めていく。だが
「「「舐めるなあ!」」」
魔族達が基礎性能で1体あたり10人相手をするという荒業で徐々に戦局一を押し返してくる。そして中でも一際大きく暴力的な魔力を持つ者がいる。そいつは『アグニ』が人類サイドになった今、奴等のリーダーだ。此奴は鬼神のような働きで既に奴だけで1000人ほど戦闘不能に追いやられている。今は『アグニ』が機能しているから拮抗しているが、『アグニ』が崩れると一気に押し込まれるだろう。その様子を見たララがリンナに告げる。
「あいつ燃やしてくるわ、兵士達には荷が重そう」
「儂も行くぞ」
「ララさん、ガルドさんお願いします。私は緊急離脱するであろう負傷兵の治療に当たります」
「私先行くわね、それとも私が運んだほうがいい?」
ララが背中から赤い翼を生やし飛翔して敵陣へと向かう。
「なに案ずるでない、儂は走るのが早すぎて『おっさんチーター』と呼ばれてるくらいじゃからの」
「それはいいのかしら……」
「むん!」
ガルドが自身の究極級の固有魔法〈超人〉を発動、全身が異様なまでに隆起して筋肉の鎧が完成した。ブチブチ、バキバキという音がして、鎧が筋肉の圧に耐えれずに弾け飛んだ。そのため彼は今インナーしか着ていない、しかも超パツパツだ。
「……」
ララが何とも言えない表情を浮かべるが、気を切り替えて即座に飛ぶ。それに追従するようにガルドも走り出す。
「嘘〜!私の飛行速度に付いてこれるなんて」
「ワハハハ!若い者にはまだ負けてられんからの!!」
「ならもっと飛ばすわ!」
「望むところよ!」
2人が闘争心バチバチで飛ばした結果、1km先の敵陣に僅か一分で到着する。ララと空からガルド隊長は超跳躍を披露して地面にダイナミックに着地、辺りにゴオォンという大きな音が鳴り響きクレーターが出来る。
「さあ、派手に暴れるわよ!」
「ワハハハ!!」




