2-3 運命
幸せなら、人間でなくても良い。
そもそも、私の人生はずっと孤独でひとりぼっちだったのだ。人と人との間のつながりが人間を「人間」たらしめるなら、私はとっくに人間ではない。
「できるなら暖かいお日様の下で、幸せにずっと撫でられていたいんです......」
涙がボロボロ出てくる。男の体温で、久しぶりの人間の温もりで、見ないようにしてきた心から漏れ出たのは、今まで必死に覆い隠し、埋め立ててきた本心だった。
私は、ずっと、寂しかったのだ。
「生憎だが」
顔を覆い隠し、下を向いてしゃくりあげる私の背を右手で撫でながら、男は言い放つ。
「それは出来ねぇな。」
ビクッと身体が震える。衝撃に男の顔を見上げると、その表情は能面に覆い隠され、その人外めいた容貌は私を惹きつけてやまない鋭さを放っていた。
しかし、そのきつく怜悧な相貌とは裏腹に、私の涙を拭う男の手はひどく優しくあたたかい。
「俺はお前と共に、と決めた。」
男は、泣きすぎて力が緩んだ私の両手からその左手を抜き取り、私を引き寄せ包み込むかのように私の肩を抱く。
「そして、お前も俺についてくると決めた。違うか」
鋭い眼光。漆黒の瞳が讃える真剣な色に惹き込まれ、問いかけへの答えが唇をついて出る。
「違わない......」
「なら」
さらにぐいっと私を引き寄せ、その大きな身体で私を包み込み、彼は私の耳元でささやいた。
「俺とお前は、ずっとこの月明かりの元で共に歩んでいく。そういう運命だよ。」
その深く、私を包み込み、飲み込まんとする声色に心を奪われる。
恐る恐る男の背中へと腕をまわし、目を閉じる。
一拍の後、私は一言、 「そうかもね」とつぶやいた。
「そうかもね」は「私」なりの決心の言葉です。
そう感じ取っていただけるよう、今後のストーリー展開でお伝えできればと。頑張ります。




