2-2 さいっこうのあいぼう or 猫ちゃん
「さいっこうのあいぼう......」
私は耳を疑った。この男は一体、なにを言っているのか。
「そう、さいっこうの相棒。」
その眩しい笑顔と、私を離すまいと包み込み囲い込む体温から、なぜか大型犬が連想された。飼い主が埋め隠していた骨を掘り当てて、宝物を見つけたかのように喜び跳ね回る、忠誠心の高い犬。
困惑を隠せず、私はつぶやく。
「あいぼう......」
「そう、相棒。それとも、恋人の方が良いのか」
すると途端に男は雰囲気を変える。私を包み込む右腕をより強く締め、その笑顔はとろけるような甘さを湛えた。頬に添えられた左手がより深く添えられ、親指が唇を蠱惑的になぞり始める。
蛇みたい、そう思った。より鋭くなった眦でこちらを観察し誘惑し、飲み込まんとするその姿からは、先ほどまでの温かさは消え去っている。
ポカンと開いた唇から親指が口腔内に侵入し、舌に触れた。
その冷たい体温にぞくりとし、頬に添えられた左手を私の両手で無理やり引き剥がした。
「あいぼうでもこいびとでもなくて、弟子とか、それか、それか猫ちゃんがいいです。」
男の左手を両手でギュッと握り込みながら、彼の鋭利な瞳をまっすぐに見つめて伝える。
「なぜ猫なんだ」
男は一瞬目を大きく見開き、深い声で問いかけてきた。
あ、あの顔だ。お兄ちゃんみたいな、あの顔。
力の抜けた男の左手から、腰に回された右手から、あたたかな体温を感じる。
「......猫みたいに日向ぼっこして、美味しい餌を食べて、好きな時に昼寝して、好きな人に遊んでもらって、幸せに暮らせたらいいなって、そう思ったんです」




