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▼雷撃都市  作者: 亜久津カナ
▼雷撃都市 ー第壱章ー
27/32

1-27:▼エルの父

ー別棟 避雷針整備庫ー


いつもの椅子に座り整備用の電気スタンドを点けてから顎ひげをひと撫でするV。

その正面に腰を下ろすエル。


Vが閉じていた瞳をゆっくりと開き、真っ直ぐにエルを見て話し始める。


「タイトが逝ってから10年か…早ぇもんだ。Aのおかげで予定が狂っちまったが…エル、お前に話しておかなきゃいけねぇことがある。」


真っ直ぐVの目を見て頷くエル。


「あの事故… 知っての通りお前の親父が聞か猿…Ω(オメガ)をかばって逝っちまったのは間違いじゃない。ただ、問題は何が爆発したのか…だ。」


「え?Ωさん会見では父さんの作ってた畜雷ユニットに溜まってた雷撃の暴発だって…」


「ああ、LCUが暴発したのも嘘じゃねぇんだ。ただな、それはただのLCUじゃなかったんだ。

事故の直後、俺は現場にすぐ向かったんだが、どうも雷撃のにおいに何か混じっていることに気がついてな…」


「何かって?」


「初めて嗅ぐにおいでな…当時それがどうにも分からなかった。現場を見終わった俺はやつのところに行って何があったか問い詰めたんだが『LCUが暴発しただけだ』の繰り返しでな。」


「Vにもわからないにおいだなんて…」


「目すら合わせねえからぶん殴ってやろうかと思ったんだが、やつの顔を間近で見たら気が失せてな。その後はお前も知っての通り…」


参猿(さんさる)解散して、フリーのTAHに転向、、、?」


「ああ、Ωが事故で目をやっちまったし、どうも歯車が狂っちまってな、、、」


人差し指で左目を縦に切るような動きをするV。


「そんな中でもAのやつは粘って協会に残ったΩに連日話しをしに行っていやがった。


それからしばらくして、タイトが何をいじってたか調べていた俺にAが事故現場の残留物をかき集めたやつを見せに来たんだ。ジジイとタイトがいじってた、今までとは違う全く新しい発想の電力生成システムが作れる基板だってな。」


「さっきのDB303ってやつ?」


「ああ。あいつが話していた通りのΔ融合炉制御盤だ。その時にはあいつは復元のことなんて一言も話さなかったんだが、確実な話になるまでは言いたかなかったんだろう…10年かけて答えを出して来やがったがな。ちっ…」


何か思い当たる節があるかのように舌打ちを漏らすV。


「最初はその残留物を基に再構築できるんじゃないかと思ったんだが、物を見て無理だとすぐに分かった。破損というか跡形もねえんだよ、砕けた炭みてぇな状態だった。」


悔しそうに深いため息をつくV。


「それからは、Aに聞いた303みたいな仕様の基板をジャンク屋に探してもらってたんだが、7年前にようやく見つかったのが後期型だった。


俺はそれがタイトがいじってたやつだと思いこんでQに見せたんだが、

あいつはそれが何かしらの発電装置であることと、使っているチップや回路の流れから、もう一つ前の段階があるってところまで突き止めたんだ。


それから5年後、ようやくもう一つ前…要は初期型が酷ぇ状態ではあったが遂に手に入ってな。

そこからは後期型で得た知見をフィードバックしながら、修復作業を進めてようやく形が見えてきたのがこの1か月ってところだ。。。」


「さすがだね、Q。」


「ああ、さすがはAの唯一の弟子だと痛感したわ。 Qには長ぇ間あらゆる可能性を探ってもらったんだ。あいつには本当に無理ばかりさせちまった。。。

Aのむらっ気が出なけりゃ話もできたが、当時は今なんかよりも波が酷くてな…」


力なく肩を落としうなだれるV。

そんなVとは裏腹にあっけらかんとエルが口を開く。


「でもさ、結果としてはVが欲しかったものが手に入ったんでしょ??」


「いや、おまえ、、、そりゃ、、、」


「良かったじゃん!だって、AさんとQがかかりっきりになって10年ってことでしょ?それって最短ルートなんじゃないの?」


床に落としていた視線がエルの顔へと移る。

しかめ面で頭を搔きむしるV。


「たーーーーーーっ!!!エル、おまえの言う通りだよ!!!最短だ最短!!世界一早ぇよ!!!」


「良かったね、V!」


満面の笑みでVを見つめるエル。

頭を掻きむしる手を止め、目を丸くして口をあんぐりと開けているV。

次の瞬間大きな笑い声が庫内に響き渡る。


「がっはっはっは!!!ホント図太てぇわ、お前は!!!おう、良かったわ!!長年の鬱憤がぶっ飛んだぜ!!!」


「父さんもきっと『やっと見て貰えた!』って喜んでるよ!」


腹を抱えて笑っていたVがつぶやく。


「そうだな、タイトのやつも、、、そう、喜んでやがるだろうな。」


「うん! ・・・でさ、Vがわからなかった『におい』の正体はわかったの?」


笑顔のまま涙を拭うV。


「ん?ああ、あれな。結局のところ、融合炉で発生する微量のデルタニウムが燃焼した後のにおいだったわ。Qが試作した発電機のおかげでそれがわかった。」


「そうだったんだ〜!おもしろ~!今度俺にもその発電機見せてよ!」


「そりゃ構わねぇんだが… もうすでに見ちまってるぞ??」


「え!?どこで!?」


「スタンガンで。」


ハッとして立ち上がるエル。


「はぅあ!!??まさか、DDって発電機なの??!!すげー!!!全然気が付かなかった!!!」


「Qが普通の発電試験機にしたらつまらんからって言ってドロイド型にしたんだよ。。。」


「ってことは、、、あの匂いがデルタニウム!?」


「ああ、そうだ。次世代デルタニウムの安全性は飲食レベルでも全くの無害が証明されてるからな。とはいえ物凄ぇ力だからな。素人には扱えねぇよ、アレは。。。まぁ、あいつはどえらいもんを店の中うろつかせてんだ。ったく、、、」


「Qっぽいw。で、父さんはその研究をしてたってこと??」


「おう、そうだった。。。タイトはそのオリジナルの303を基に新しい蓄電方法を研究してたんだ。

多分だが、、、成功したはずだ。。。実は事故のほんの少し前、捕雷中の俺に連絡してきやがったんだ。見せたいもんが完成したってよ。。。」


その当時のことを思い出すV。


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