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▼雷撃都市  作者: 亜久津カナ
▼雷撃都市 ー第壱章ー
26/32

1-26:▼2%

ーVの整備庫ー


エルの真っすぐな視線を見てAが優しく微笑みながらつぶやく。


「簡単なことよ。。。オリジナルはね。今、私の手元にあるの。」


「えぇ?!」


「なに!?オリジナルはとうの昔に粉々になって廃棄したじゃねえか?!俺はこの目でみたぞ!?」


驚きを隠せないVとQ。

更に一口、エスプレッソを飲んで話を続けるA。


「ふふふ、悪かったわね。ちょっと語弊があるわ。

正確にはオリジナルの基板の一部が手に入ったの。多分、面白がって2つ同時に作ってたんだと思う。


廃棄されたのはタイトがいじってたそのオリジナルの1機よ。

もう片方は多分途中で飽きたのね、70%くらいまで組んだ後ほったらかしな感じだった。師匠らしい、、、


でね、2年前にあのバイクのエンジンの話をしたでしょ?実はそのエンジン専用のECUボックスにそれが入ってた。。。多分、師匠が忍ばせたんだと思う。」


唖然とするV。


「待ってくれ、、、ということは何か?それを元に。。。まさか。。。」


「そう、オリジナルを復元したの。1年かけて、ある程度再現はできた。その時に、誰かが初期型基板をいじっていることが分かって、3重のジャミングとそのプログラムを見てピンと来た。Q、あなた本当に腕上げたね。」


「師じょう・・・」


「Qが制御チップをいじってることがわかったから、そっちは任せようって思ったのよね。」


「ん?そっち?」


「ふふふ、実はね、この基板オリジナルにしか存在しないチップコネクターがあるの。」


涙ぐんだQがハッとした表情に変わる。


「師匠、まさかそれって、デルタニウムの分裂力量バランスをコントロールするチップだったりしませんか?!」


「ご名答!あなた、制御チップ内でそれも構築しようとしていたでしょ?でも、想定よりもコンマ5…いや45までが限界だったんじゃない?

無理なのよ、あの構成で抑え込むのは。だから、別のチップから補完するプログラムが必要になるの。まぁ、いい所までは来てたけど、、、98パーってところね!」


「そうだったのか、、、何度シミュレーションしても、下がりきらなかったのはそれが理由だったのか、、、基板の制約でこれ以上外部からのアクセスはできないし、でも数値は許容範囲ではあったから、、、」


「もちろん、それでもギリ動くっちゃ動くのよ?でもね、、、」


「プログラムは万全を期すべし。。。ですよね。。。」


「あの初期型基板だけで言えば万全よ。ホント、頑張ったわね。」


またしても涙ぐむQ。

お構いなしに上を向いたまま口を挟むV。


「待てよ、、、ってことは、お前のぞき見してたってことか?人が散々苦労して作ってるのを高みの見物かよ??Qがどんな思いでその零コンマ以下の戦いしてたと思ってんだ?質が悪ぃぞ!!!」


怒りの表情で立ち上がるVを冷静な面持ちで見上げるA。


「だって、普通に手伝ったらつまらないじゃない。可愛い弟子が奮闘しているのを遠くから見守っていたのよ?成長をビンビン感じた。あなたなら分かるはずよ、この気持ち?それに、おかげで…」


Vの目の前にバックパックから取り出したオリジナルの基板を突き出すA。


「はい、これ。お土産よ。これで99パー。」


それを受け取るV。

Aの仕事らしからぬツギハギだらけの基板が手の中にある。

それを見ると同時に高ぶっていた気が納まっていく。


「あと1パーセント。。。どうしたらいいの?Aさん?」


未だ真っすぐにAを見つめるエルが問いかけると、Aは真剣な表情で答える。


「エル、、、ここにはあなたとVがいるでしょ? ・・・ それで100パーよ。」


「え?!Vと俺??」


突然自分の名を呼ばれ驚くエル。

眉間を摘みながら目を閉じるV。


「いよいよ、やるんでしょ?タイトのやろうとしていたことを、あなたたちが。」


「え?父さん?! 父さんがやろうとしていたことって…何?」


「A、すまん。。。やはり、ここからはちょっと二人で話をさせてくれ。」


少しの沈黙の後、黙って頷きエスプレッソを飲み干すA。

Vがオリジナルの基板をQに手渡し耳元で何かを伝えると、エルを連れて避雷針整備庫へと向かう。


「いよいよ、動き出すのね、、、頑張って、エル。。。」


その後ろ姿を見守るA。


予報にない雨が降り始めている。


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