1-25:▼Δ融合炉制御基板 DB303J
ーVの整備庫ー
「あ~ん、やっぱりKEIのエスプレッソは最高ね!!!おかわり!」
「いい歳こいて、何が『あ~ん』だ!もうねえよ!!」
「店ので良ければ、持ってきますが、、、」
「ううん、いいわ。大事な話があるからね。。。」
背筋を伸ばし居住まいを正すQとソファの上に立膝を付いて座るバツの悪そうなV。
その間に膝を抱えてちょこんと座るエルは上目遣いで二人の様子を交互に見渡している。
Vが切り出す。
「で、、、なんでお前が基板のこと知ってんだ。。。」
「なんで?そりゃだってあんな基板、誰の手にも負えないじゃない?私かQか。。。まぁもう一人いるっちゃいるけど、、、そんな基板が無くなったって知ったら、そりゃぁ、、、ね?」
「違う!そもそも、出回るような情報じゃないってことだよ!まさかとは思うが、お前…Jのやつをおど、、、」
「脅さないわよ!!!ちょっと、勘弁してよね!!!」
「だったら何でだ!!Jが漏らすわけねぇんだ!!」
「はーーーーっ・・・」
一瞬の静寂が整備庫を包む。
空のエスプレッソを飲みかけてうつむき黙り込むA。
歯を食いしばり、もう一本の金属の筒を乱雑にAへと放り投げるV。
エルとQが心配そうにその様子をうかがっている。
「エル。こっからはあなたにはもしかしたら、ちょっとキツい話になるかもしれないけど。。。V、いいよね?」
「え?俺??なんで、、、?」
「、、、」
振り返るエル。
その視線を逸らすようにVはサングラスのレンズを閉じ、ソファへ深く座り天を仰ぐ。
「そしたらまずは、303の話からしようかな、、、 」
筒の蓋を回し開け、エスプレッソを一口飲んでからAが話し始める。
「あの基板は私の師匠が創ったんだけど、例の地殻変動があってから、師匠は現行の手法…避雷針型蓄電法の研究開発をしながら、同時に別のエネルギー源の開発を進めていたのよ。その中で生まれたのが、あのΔ融合炉制御基板なの。
多分二人はもうわかってると思うけど、変圧器とΔ融合炉を組み合わせた発電技術ね。
いつか必ず必要になる時が来るって言って、師匠、長年頭を抱えていじっていたわ。。。
10年くらい経ってようやくその基板が完成して、そこからは量産化をする為の試験が始まったわ。
まず3台作ったのだけど、オリジナルに最も近いその303初期型には、後継期には反映されなかった3つのマイクロチップが搭載されていたの。
1つはその基板上に搭載されたパーツの情報を全てオリジナルに転送するチップ。
これは基板を並列化して使うことを目的とされて付けられていたの。
結局、不要となって取っちゃったけどね。
もう1つは、融合炉と変圧器を繋ぐために必要な制御用のチップ。
これは後期型にもあるんだけど、初期型はオリジナルと同じで大容量向け。
後期型は一般用に許容量が少ないものに変更になった。
多分、Qが必死で安定化プログラムを組んでいるのはこの制御チップ、、、じゃないかしら?
で、最後の1つが——」
「ちょっと待て!なぜそんなことまで分かるんだ!!おい、Q!」
「いやいや、Vさん無いですって!!!俺だってプロですよ!!!それが師匠であっても言いませんって!!!転送チップだって3重のジャミングをかけて漏洩防止策は万全だったし!3重の、、、」
二人が頭上で口論をする中、エルはAの目を見つめてただじっと話を聞いている。





