1-18:▼旧車
ー旧高速環状線B3 拾七番IC通過ー
明暗が収まり、ひときわ長いトンネルに入る。
少しすると後ろから高回転系のエンジン音と図太いエキゾースト音が追いかけてくる。
「まぁた、来た…」
ミラーを確認して舌打ちをするエル。
スロットルを開けてスピードを上げるも、その音はエルのすぐ後ろへと来て張り付きエルのテールをヘッドライトが照らす。
しばらく縦列状態で走行した後に、エルのEVCの隣へと並びかける漆黒のバイク。
カーボンのフルフェイスにショート丈の黒い避雷ジャケット。黒のワイドパンツに真っ白なスニーカーを履いた男が乗っている。
ネックリングのインジケーターがチカチカっと光る。
ゴーグル内の通信アイコンがアクティブになり通話を求められると、嫌そうながらもエルはそれを許可する。
「おーう!エルーーっ!やっとサスいじったな!?でもそれ、ケツ硬ぇんじゃねえか?!」
「今日やっといじったよ。うん、ケツ硬い感じするなって思ってたとこ… ケーナインはいつもホント嫌なタイミングで来るよね…」
「あぁ?!何言ってんだ?!このK9様が直々に見てやってんのに?!しかしアレだな…それ加速度関数を計算に入れてなかったろ?」
「うん…考えてなかった。停車時はメッチャいい感じだったんだけど完全に抜けてたよ。B3走るとホント色々よく分かるや…」
「高速走行とワインディング。更にラフロードも同時に味わえるからなB3は!最高だぜ!しかしそうだな… リヤのイニシャル5mm抜いて、ダンパー15分戻し…ってとこだな。フロントは良さそうだ。朝飯食いながら調整すっか?」
「さっき食べたし、今日は寄るとこあるからいいや。帰ったらいじってみるよ…5mm抜きの15分戻しか…なるほどぉ!ありがとう、ケーナイン!」
「おう!またな!」
そういうとK9のその漆黒のバイクは独特のV型高回転エンジンの音を響かせながら一気に加速し瞬く間に見えなくなる。
ゴーグル内の表示が通信遮断を伝える。
「高純度の精製バイオエタノールでも普通あんな加速しないよな…一体どうやったらそんなことになるんだよ。ドがつくほどの旧型なのに…w」
煙がかったトンネルを抜けて、また光が交互にEVCを照らす。





