1-13:▼二面のQ
ー飯屋スタンガンー
空のどんぶりに投げ込まれるレンゲ。
同時にバシッと置かれる箸。
「食ったーっ!美味かったーっ!ごちそうさまでした!」
「ちっ、悔しいがやっぱり美味えよ… 」
「オカイケイは イカガサレマスか?」
1人の男がエルとVの間から顔を覗かせロボットの声真似をしながら現れる。
ピンクの瞳にブルー髪で前髪は横一文字。
黒の避帯電Tシャツとエプロンに焼けた肌。
一見すると華奢に見えるが、その腕は意外にも筋肉質な男が笑顔でそこにいる。
驚くエルといつものことだと呆れ顔のV。
「ギャーーーー!ビックリしたー!!!もーやめてよQーっ!」
「キッシッシッシッw 今日も完食ありがとなエル!Vさんもありがとう!」
「おう、ごちそうさん。しかしオメェ…とうとう極まったか…」
「わかりますぅ?!バーナー変えたんで更に強火でガっと行ける様になったんすよー!あとは秘伝の味噌ダレにですね、今日は檸檬チップを軽く炙って入れて、未だ誰もが見果てぬ初夏ってのを演出したんす!」
「そっちもだが、そっちじゃねえよ。あのドロイドの動き…何した…?」
妙に真剣な表情のVにエルがたじろぐ中でQが表情を一変させ少し声を落として答える。
「Vさん、さすがっすね。実は例のルートからようやく入ったんすよアレが。今、リプログラムしたやつを流し込んでDDで試験運用中ですが、数値は許容範囲です、、、 もう少し詰めたいんですが、このままでも行けます、、、結果はまた改めて連絡します。」
「そうか… ありがとうな。」
「ちょっ、2人とも…??」
状況が飲み込めないエルが不安そうな面持ちで2人のことを見ている。
顔を見合わせるVとQ。
同時にブッ!と吹き出す。
「悪りぃ悪りぃ!『例のブツ』みたいな言い方して不安にさせたな!w 実はずっと探してたアナログ基板とかICチップとかがあってよ、それがなかなか見つからないからQにも探すの手伝ってもらってたんだ。」
「そ、そうなの…か…?異様な感じがしてなんかビビったよ俺w」
「キシシッ!ごめんな、エル!『例のブツ』を親分がご所望で、俺が闇のルートで仕入れた…ってわけよ〜、怖ぇ〜っw」
「バカ言ってねぇで厨房戻れ!オーダー溜まってんぞ!」
「あっ!やべ!戻ります!ご来店ありがとうございました!また来てください!1ヶ月後に!w」
「いやいや、明日もまた来るよ!ここら辺じゃスタンガンが一番だもん!」
「キシシッ!ありがとな!Vさんも是非また!」
「…おうよ、1ヵ月後にまた来るわ。」
エルがVを指さし何かを言っている様子が窓の外から見える。
席を立ち、店を出る2人。
EVCで帰路に就くエルを見送るV。
空を見上げて舌打ち一つ。
身をひるがえしネオンが灯る夜の街へと消えて行く。
この時期には珍しく雨が止んでいる。





