4.あなたは誰だ
「誰だ?」
その声の持ち主はおそらくエルマーではない。
「お嬢様、後ろに下がっていてください」
小声でリアにそう言うと、奥から来る不審者を撃退するため、いつも腰に下げている愛剣を抜く。
リアはルナに言われた通り、できるかぎり後ろに下がる。
一緒にいても、逆にルナの邪魔になるだけだ。
「あなたこそ、誰です!」
ルナが不審者に毅然とした態度で問いかける。
「女か?」
ルナが持っているランプの光で不審者の顔が照らしだされる。
「綺麗・・・・・」
リアは思わず呟いてしまった。
不審者は男だった。
漆黒の髪に、ルナより深い青色、ミッドナイトブルーの瞳。
一言で美形と言える顔のつくりには多くの人々が魅了されるだろう。
すると彼はリアの方をちらりと見ると、なるほどとでも言うような顔つきをし、
次の瞬間――消えた。
「うっ・・・・・」
うめき声をあげてルナが床に倒れこむ。
剣が床にたたき落ちる音が部屋の中に響く。
「ルナっ!!」
リアは思わずルナの方に駆け寄る。
―――シュッ。
消えた、と思っていた男がリアの背後をとる。
首にあてられているのは―――小刀だった。
ルナを気絶させたのも、きっとこの男だろう。
それにしても、なんて無駄のない動き。力には自信があっても、速さでは完璧に負けている、とリアは思った。
「もう1回聞く。誰だ?」
恐る恐る後ろを振り返ると、ミッドナイトブルーの瞳がリアを睨みつけていた。
今にも気絶してしまいそうな圧力が彼全体からでている。
それでも、負けるものかとリアは勇気をふりしぼる。
「こちらこそ、もう1度言います。あなたこそ、誰ですか?人に名を尋ねる時は、自分から名乗るものでしょう?あなたが名乗るのならば、私も名乗ってさしあげます」
「はっ、お前今の状況が分かってないのか?首に何があてられているのか気付いているだろう?殺されたくないのならば、さっさと名乗れ」
「なんて野蛮な・・・」
そう言いかけたところで、首にわずかな痛みを感じる。
「いたっ」
―――切られたのだ。名乗らないリアへの脅しとして。
切られたところから、少量だが血が流れ出る。そしてそれがリアの服を赤に染めあげた。
「最低ね、あなた」
「手段は選ばない。あまり俺をイライラさせるな」
どうやらこれ以上、黙っているのは身の危険だ。
観念してリアは自分の正体と、なぜここに来たのかを話す。
「私はリア・ベレスフォード、下級貴族よ。この家の住人は私の仕事仲間で、2日続けて出勤しないから心配して家まで来たの。これでいいかしら?」
すると、途端に興味をなくしたように、彼は首から小刀を離す。
「ならいい。もうお前に用はない」
ごん、と腹部に殴られた痛みが走る。
殴られた衝撃で、リアは床に倒れこむ。
遠のいていく意識の中、男は静かに部屋をでていった。
今回はキリよく終わらせるため、
話が短くなりました。
今日から学校はじまったので、
更新が遅くなったり、なかったりすると思いますが、
どうぞよろしくお願いします。




