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3.行方不明のエルマー

ただいま午後12時。

エルマーが出勤する時間なのだが、彼の姿はどこにも見えない。

10分経っても、20分経ってもエルマーは来なかった。

―――2日連続で休みなんてありえない。

リアは彼のことを軽薄な男だと思っているが、一緒に仕事をする仲間として信頼もしている。

なのに。

一体どういうことなのだろう。

「ノエル!エルマーから電話かかってきた?」

カウンターの方から「いいえ、まだです!」という返事が返ってきた。

電話もかかってこないのかしら・・・。

もやもやした気持ちのまま、リアは注文されたデザートを作る。

すると、奥の台でサンドウィッチを作っていたルースが心配そうに駆け寄ってくる。

「リア、そんな落ち込むなよ。エルマーだって何か深い事情があるかもしんねぇだろ?ここはエルマーのことを信じようぜ」

真っ赤で燃えるような髪、深いグリーンの目を持つルース。

まだ12歳であるルースになぐさめられると、そうだねという素直な気持ちになる。

彼は彼なりにエルマーのことを思っているのだろう。

「そうね、ルースの言う通りだわ。今はとりあえず、エルマーを信じて待つしかないわね」

そう言うと、彼はあどけない笑みを返し、自分の仕事に戻って行った。

信じて待つしかない、と自分で言ったのだが、いまいち本当だろうかと思うのは、昨日のエルマーからの電話の内容のせいだろう。

ルースが言うように深い事情があるのなら、しっかり言えばいいのに。

もやもやした気持ちはおさまることなく、膨れ上がっていく。

そこでリアはあることにひらめく。

(そうだわ。エルマーの家に行ってみればいいのよ。そうすれば彼が何をしているのか分かるはず)

そうと決まれば、今日決行するのみだ。

エルマーの家は以前、本人に教えてもらったので分かっている。

ちなみに、従業員の家を知っておくのは、彼らに万が一のことがあったときのためだ。

(よし!はっきりしないことは自分で確かめなくちゃ)

閉店後にエルマーの家によってもらうことを決め、目の前のデザートを完成させた。



「それはいい考えですね。実際にエルマーさんの家に行けば、真実が分かりますから。さすがお嬢様。大胆な行動です」

「大胆って・・・。別に浮気の現場を見に行く妻じゃないのよ。ただ、私ははっきりさせたいだけ」

「もちろん、分かっています」

きっぱりそう言われると、リアとしても嬉しい。

「しかしお嬢様。エルマーさんが家にいなかったらどうするんですか?問い詰めることもできませんよ」

「こんな時間に家にいないなんて、遊んでいると認めたことと同じよ。絶対に許さないんだから」

「お友達の家に泊まっているとか・・・」

「あいつは男友達の家になんて泊まらないわよ。この前『男と寝るなんてあつくるしい』とか言っていたもの」

「では親戚の家とか・・・」

「エルマーには家族も、親戚も・・・いないわ」

ルナの顔が一瞬、悲しそうにゆがむ。

リアにもエルマーについてくわしいことは知らないが、何ヶ月か前にぽつりともらしたのだ。

―――俺って家族とか親戚とか、もうこの世にはいないんだよねぇ。

言い方は軽かったが、そう話しているときの彼の表情は重かった。

そんなエルマーはカフェ「ベレス」の近くに一人暮らししている。

「今そんなこと考えても意味ないわ。彼の家についてから考えましょう」

「そうですね・・・」

それっきり会話という会話はなく、馬車は静かにエルマーの家の前で止まった。

リアの屋敷よりはるかに小さく、今にも壊れそうなエルマーの家は明かり灯っていなかった。

「なんだか薄暗くて・・・恐いわ」

「大丈夫です。不審者がでても、私が撃退しますので」

ルナは力だけが強いリアと違って、剣術に長けている。

濃いブラウンの長い髪をなびかせながら剣をふるう彼女の姿は華麗なのだ。

剣術の他にも「不審者及びお嬢様に害をなすもの」をぼこぼこにするために、様々な訓練をしているとか。

「もう寝ているのかしら。とりあえず・・・」

ドアをコン、コンと2回叩く。

すると、鍵がかかっているはずのドアがギィっという音をたてて、静かに開く。

「こんな深夜に鍵もかけないなんて不用心だわ。エルマーは何をやっているの?」

「お嬢様、なんだか怪しいにおいがします・・・」

御者からランプを受け取ったルナは、開いたドアから、足音をたてないよう慎重に中に入りだす。

リアもルナの後についていく。

すると、ふと前を歩いていたルナの足が止まる。

「・・・・・・!」

声にならない悲鳴を上げたのを聞いて、リアは背の高いルナを追い越し、その惨状を見る。

部屋の中はぐちゃぐちゃに荒らされていて、入ってすぐの床には・・・

―――赤黒くまがまがしい血痕がおちていた。

リアがそれを見たと同時に、奥の部屋からコツ、コツという足音が聞こえてきた。

先ほどまで固まっていたルナは本能でリアを庇うようにして立つ。

「誰だ?」

暗闇の中から現れた人物はリアたちにそう問いかけた。

最後の最後にでてくるこの人物。

これから先、重要になってくる人です(笑

この人とリアとのからみが面白くなればいいなぁと思いながら

次話を書きたいと思います。

ここまで読んで下さったみなさま。

本当にありがとうございます。

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