15.忠実なる人形
「エルマー!エルマー!」
「叫んでも聞こえないよ。これはただの『映像』なんだから」
そう言うと『光』を消し、リアに向き直る。その表情を見てリアは思った。
――――なんて楽しそうな顔をしているのだろう。
この状況を何よりも楽しみ、そして自分が優位であることに喜びを感じている。
そんな表情をしている。
そして、初めて会ったときに感じた威圧感や、所々に感じる紳士のような振る舞い。
彼は幼い子供の仮面を被った悪魔のようだ。
「賢いリアは分かるよね?キミが探していたエルマーはボクが預かってるんだ。そしてメイドも」
彼の言わんとしていることは分かっている。
リアの態度や行動によっては、エルマーやルナの命はない、ということだ。
「何が、したいの?あなたは何のために、こんなことを・・・」
「何がしたいのか、かぁ・・・。そんなの決まってるじゃん、リアの能力のことについてだよ」
「・・・!」
「なんで知っているのか、って聞きたそうだね。じゃあ、昔話を聞いてもらおうかな」
ボクの大キライな女についてだよ・・・。
***
「あいつは一体どこへ行ったんだ!?」
ホールの中にリアの姿はどこを探しても見当たらなかった。
ラディスの『嫌な予感』がどんどん膨らんでいく。
(こうなったら屋敷の奴らを脅してでも、あいつがどこにいるのか聞きださないとな)
リアがラディスを放ってどこかに行くはずがない。
もともとリアはラディスを疑っていたのだし、ルーモアから得られる情報に期待していた。
ならば、考えられるのは2つ。
リアの『力』を狙った奴が攫っていったか、リアがエルマーを攫った犯人を見つけて奪い返しにいったのか、どちらかだろう。ちなみに2つ目の方は、後先も考えずに突っ込んでいったと考えられる。
ラディスはホールから出て、とりあえず使用人を探して問い詰めようと画策していたその時。
「ここからは一般のお客様は立ち入り禁止ですよ、バークレイ伯爵」
「お前・・・ここの使用人か?」
綺麗な茶色の髪をなびかせ、颯爽と現れた幼い顔立ちの少年に注意されたことに、ラディスは不快感をあらわにする。
「はい、そうです。僕はこの屋敷全般のことについて任されています」
それなら都合がいい。
なぜだかこの少年を見たとき、何か知っている、とラディスは直感した。
とっさに少年を壁に勢いよく押しつけ襟元をつかみ静かに問う。
「リアはどこにいる?」
「失礼ながら、リアというお方の事は存じ上げません」
「俺は人の嘘には人一倍敏感なんだ、そんな白々しく嘘をつくな。知っていることを全部話せ」
つかんでいた襟元にさらに力を込めると、少年は苦しそうにラディスの手をどかそうともがく。
「俺に逆らってもいいことはないぞ。ついでに、あいつのメイドの居場所も教えろ」
「僕がそう簡単に話すとでも?」
苦しそうにしながらも、彼には余裕があるように見えた。
それならば。
「話さないのなら次は・・・これだ」
ラディスは忍ばせておいた銃を、少年の首元にぐりっと押しつけ、睨みきかす。
「・・・降参です。僕は今丸腰なんですよ、そんな物騒なものをつきつけないでください」
「最初から大人しく話せばいいんだ、話せば」
そういいながらも、ラディスはつきつけた銃を降ろそうとはしなかった。
「案内しますよ。まずはメイドの方から」
「ご主人様に命じられて、僕はこのメイドを拉致・監禁しました。気絶から目が覚めてうるさくされると面倒くさいので、睡眠薬を嗅がせています。当分は目を覚まさないでしょう」
少年は淡々と説明し、小部屋の中に横たわっていたルナの拘束具を外した。
「・・・やけにあっさりと案内するんだな」
「ここで殺されたくはないので」
そう言ってにっこりと笑った彼の笑顔は――――嘘か本当か。
なぜだかラディスはそれが読めなかった。
1つ分かったのは、何か裏があるということだ。
(しかし今はこいつについて行くしか方法がないな)
一刻も早くリアに会って、ここから抜け出さなくては。ルーモアの話が本当ならば、最悪な事態になりかねないのだ。
『あの力』がここ最近の事件の黒幕に渡れば、大変なことになる。
自分に任された仕事。それがまさかこんなことになるとは思ってもみなかった。
ラディスはルナをそっと持ち上げ、近くにあったソファの上に横たわらせると、少年が持っていた鍵で部屋に鍵をかけて出た。
ルナを抱えたままじゃ、もしものときに対応できない。とりあえず今はリアが優先だ。
「早くリアの元へ案内しろ」
「はい。では、こちらへ・・・」
自分に任された仕事。それは自分で解決するしかない。
――――それが自分の使命なのだから。
こんばんは、杏樹です(^-^)
短い!と思うかもしれませんが、
これからはこのくらいの長さになりそうです。
次はラディスの「仕事」について書こうと思っています。
これでなんとなく意味が分かってくるのではないかと。
下手くそですが、日々精進、頑張っていきたいです(*^-^*)
ここまで読んで下さった皆様。
本当にありがとうございます。
これからもどうぞよろしくお願いしますm(__)m
感想などをいただけると嬉しいです(*^o^*)




