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人生やり直し中の無自覚少女アル、お一人様満喫計画! 元Sランク冒険者は、新人!?  作者: 枝豆子
第9章:最果ての街マローへの帰還!巡りあう想いと新たなる絆編

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180 親友からの追撃と加速するデリバリーと私

「本日のスイーツは、グランナッツのパウンドケーキ、ホイップクリーム添えとピーチモの風味を味わえる紅茶でございます」




 私の目の前にことりと置かれる本日のオヤツ。アーくんが優雅にティーポットからピーチモの香りが漂う紅茶をカップに注いでくれる。



 アリオスは、何やらジェシカとご用があるらしく、私一人で帰ってきたので今日のオヤツは、私の独り占めだ。



「アーくん、いつもありがとう」

「ありがたきお言葉……私め如きにいつも感謝の言葉を投げかけてくれる……我が姫のその御心がいつまでも健やかにお過ごしできるよう精進してまいります」



 相変わらず、私の一言に対して何倍もの感謝の言葉を上乗せしてくるアーくん。目の前で繰り広げられるお姫さまごっこ。いつものように当たり前のように受け流すバートと未だ慣れないのか不思議そうにアーくんを見ているモナリィが並んでソファーに座っている。



 モナリィのそばにちょこんと座る、レオパルド柄のスピードパンサーが、私とモナリィの顔を交互に見ながら、『にゃうん』と首を傾げる。



 えへへ……。彼女が、モナリィの従魔のスピードパンサー。以前は、合同演習中だったから、仲良しになれなかったけど、オフモードだと、こんなに表情が豊かなんだ。



「彼女が、モナリィの従魔だよね……お名前は?」

「そうよ……って、リオが女の子ってわかったの?」

「え? どう見ても女の子にしか見えないよ? リオちゃんか……よろしくね」



 リオが、モナリィのそばから立ち上がり、私のそばにてててっと近づき、私のお膝に顎を乗せてキラキラな瞳で見上げてきた。



『にゃうん!』



 喉元をくすぐるように指先で撫でると、ゴロゴロと重低音を奏でながら喉を鳴らした。



「……マジか?」

「フフフッ……バートさんには、いまだに『シャー』って威嚇するのにね」



 大きく瞳を開けて少し悔しそうな表情を見せるバートをモナリィが慰めた。



「我が姫の素晴らしさがわかるのは見どころがあります……ちなみに羽毛の美しさは、私めが一番です」



 アーくん……そこ張り合うところなんだ。今は、アークデーモンの姿だから、張り合うもふもふは、ないと思うけどね?



 ドライフルーツがたっぷり入ったパウンドケーキにそっとフォークでわけ、ホイップクリームをたっぷりつけて大きく口を開けてパクリと食べる。



「んんーーー! ほどよい甘さが良い仕事してるよ! アーくん、今日のオヤツも最高に美味しい」



 フォークを持ったまま、両頬を摩り身体全体をくねらせて美味しさをアピールする。アーくんも、そんな私を見てとても嬉しそうに目を細めて会釈をした。




 私がパウンドケーキを食べきった後で、モナリィがテーブルに肘をついて身体を乗り出してきた。弧を描くモナリィの瞳を少しキラキラさせながら、小さな声で私に囁いた。



「アルさん……初めては、どうだった?」

「おま……」



 何かを言いかけたバートの唇を人差し指で塞ぎ、バートがむぐっと続きの言葉を飲み込んだ。



 モナリィの聞きたいことが理解できず、首を傾げた。



 モナリィが、ギルマスの執務室でジェシカがしてみせたように、トントンと自分の首元を指先で差す。モナリィの首筋には、バートによって付けられた赤い小さなナイショの痕がある。私が付けられた歯型とは、大きさが全く違う。



「あー……ナイショの痕ね……痛かったよ?」

「きゃあー! 聞いた? 聞いた? バートさん、聞いた?」



 モナリィが、トレードマークのツインテールを左右にフリフリしながら歓喜の悲鳴を上げる。



「それで……アリオスさまは、激しいの?」



 モナリィの追撃が止まらない。毎度、毎度、羽交い締めされ、ガブリと噛みつかれ泣かされる。確かに、乱暴で激しいバトルかもしれない。



「うん……激しいよ! 毎日泣かされるもん!」

「きゃああああああああああああ!」



 耳に響くほどの大きな悲鳴を上げるモナリィ。アーくんを見ると「フッ」と笑うだけだ。




「私、アリオスさまをずっと応援してたもの……お子様みたいに噛み付くだけだと思ってたけど……想いがようやく実ったのね……」

「……アーくん、間違いないのか?」



 モナリィが両手を組んでキラキラしている横で、疑わしそうな表情をしてバートがアーくんに確認をする。モナリィが、ガチのアリオスファンだったことは、周知の事実。できれば、私のことも少しは応援してほしいと思うけど、アリオスには敵わないらしい。



「バートさま……私めが、我が姫が望まぬ事を許すと思いますか? 今の私は、不埒者の苦しみを糧としておりますので……」

「アーくん……アークデーモンだからって、私の従魔なんだからよそ様にご迷惑をかけたらダメだよ?」

「おお……我が姫! 何とお優しい……私め肝に銘じて精進いたします」



 不穏な発言をするアーくんに「めっ」とすると、バートが静かに首を横に振った。



「アリオスさん……不憫すぎる」



 賑やかなリビングのソファーで私は、ズズズッと紅茶を啜る。お膝の上に頭を乗せるリオをヨシヨシと頭を撫でてあげると、手のひらに頭を擦り付けて「もっと撫でて?」と催促をされたのだった。



「父ちゃん! アルちゃん、今日もやったって!」

「母ちゃん! アルちゃん、今日も噛まれたって!」

byデリバリー兄弟(ウーバー&イーツ)

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