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元Sランク冒険者は、新人!?冒険者として、お一人様を満喫したいそうです  作者: 枝豆子
第9章:最果ての街マローへの帰還!巡りあう想いと新たなる絆編

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177 お姫様ベッドと絶対安全領域と私

 清潔な白いシーツがかけられたベッドにゴロンと横たわる。アーくんセレクトの天蓋付きのベッドは、お姫様仕様で可愛らしい。


 静かな部屋の中でゴロゴロとベッドの上を何度も寝返りを打ちながら目を瞑る。物静かな空間の中で、ベッドの軋む音だけが聞こえる。


 身体は眠りたいと思っているはずなのに、目を瞑れば逆に目が覚める。どうしようもない心の痛みが私を襲ってくる。



 ポロポロと勝手に涙が溢れ出す。



「あれ……一人になると……ダメだ……」



 エルガ村では絶えず誰かがそばにいてくれた。おばあちゃまが亡くなった後もずっとアリオスやモナリィ、カナリアたちがそばにいてくれて、支えてくれていた。



 改めて、自分の部屋で一人っきりになったこの静かな空間が、慣れ親しんだ場所にも関わらず、私の胸を締め付ける。



 袖口でぐいっと流れた涙を拭う。



 私は、枕を抱えベッドから起き上がると静かに部屋を出た。




 私の脚が自然と向かう先は、隣のアリオスの部屋だ。バートの部屋にはモナリィがいる。ジュークにはこんな情けない姿を晒したくはない……。


 アリオスは、私のどんな失敗や今までやらかしてきたことも、笑って全て包み込んでくれた。


 ただの消去法で、アリオスという選択肢しか私には浮かばなかった。



 ドアノブにゆっくりと手をかける。



「!?……鍵……」



 そうだ……そうだった。私が、お風呂に乱入した時、アリオスが家中のプライベートな空間に、鍵という鍵をつけまくっていた。



「……邪魔! 術式 解錠(アンロック)



 パキンと錠が破壊された小さな金属音が耳に届く。



 鍵がなくなった扉をそっと音がしないように押し開く。



 真っ暗な部屋の中、真ん中にアリオスが眠る大きなベッドが月明かりで照らされている。


 ベッドのそばで横たわる毛むくじゃらが私の来訪に気がついて、お耳をピクンと立ててじっと見ている。



 そうだよね……。アリオスは、クウクウと眠っているもんね。起こしたら悪いよね……。


 アリオスの規則正しい寝息が聞こえる中、そっと足を踏み入れ静かに扉を閉めた。


 私は人差し指を唇の前に立てて「しぃ……」と合図を送る。毛むくじゃらは、「わかった」とでもいうように再び前脚の中にお顔を埋め丸くなった。



 怒涛のエルガ村での旅路は、屈強なSSSランクの冒険者も疲れ果てさせたのだろう。大きなベッドの上で無防備に大の字になって眠るアリオス。世界一安全なプライベートの自室だからだろうか、私が部屋にこっそり入ってきても眠ったままだ。



 私は、持ってきた枕をそっとアリオスのそばに置いて、こっそりとベッドに潜り込む。二人分の体重がかかり、マットレスが沈み込むが構わない。



 寝ぼけたアリオスが、うっすらと目を開けて私を見つめる。まだまだ夢の中だろうアリオスに、私も微笑み返した。


 アリオスの大きな身体がゴロリと寝返りを打って長い手足が私を抱き込むように包み込んだ。



 大きくて広いアリオスの胸に顔を埋め、私は大きく息を吸い込んだ。ふふふ……眠る前に筋トレでもしたのだろうか? 少し汗ばんだ匂いがする。私の後頭部を優しく撫でる大きな手が心地よい。



 アリオスのドクン、ドクンと奏でる心臓の音が、ここに存在しているという安心感を私に与えてくれる。



「くわあぁぁ……」



 大きな欠伸が出てきた。先ほどの不安もどこかに消えてなくなっていく。私は、ゆっくりと瞳を閉じて、微睡(まどろみ)に抗うことなく眠りについた。







「父ちゃん! アルちゃんに男ができたって!」

「母ちゃん! アルちゃん、やったって!」

byデリバリー兄弟(ウーバー&イーツ)

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