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第21話 聖女断罪

読みに来てくださってありがとうございます。


少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです。


それでは本編をどうぞ。

聖女降臨記念パーティー当日。


美桜は鏡の前で落ち着かない様子だった。


「何だか緊張しますね」


「今さらですか」


エレナが呆れたように言う。


「だって!」


美桜はふわりと広がるドレスの裾を見た。


「こんなの初めてですよ!」


パーティー用のドレスなど一着も持っていない。


王宮の侍女達が総出で準備してくれたのだ。


「急にパーティーを開くなんて」


「カイル皇子は何を考えているんでしょう」


「知りません」


即答だった。


美桜は思わず吹き出す。


だが。


エレナの表情はどこか硬かった。


会場へ入った瞬間。


美桜は思わず足を止めた。


「わぁ……」


巨大なシャンデリア。


豪華な装飾。


色とりどりのドレス。


美しく並べられた料理。


優雅な音楽。


まるで別世界だった。


「口が開いています」


「だってすごいんですもん!」


「聖女様らしくしてください」


「無理です」


エレナは小さくため息を吐いた。


ふと視線を向ける。


そこにはユリウスがいた。


相変わらず無表情。


だが。


美桜と目が合うと、小さく頷く。


大丈夫だ。


そう伝えるような静かな仕草だった。


美桜は自然と肩の力を抜く。


その時だった。


会場の奥が静まり返る。


第一皇子カイルが姿を現したのだ。


貴族達が一斉に頭を下げる。


カイルはまっすぐ会場中央へ向かった。


その表情は硬い。


美桜は首を傾げた。


何だろう。


何か変だ。


「皆に伝えたいことがある」


会場が静まり返る。


美桜もカイルを見る。


挨拶だろうか。


そう思った。


だが。


次の言葉は予想もしないものだった。


「聖女美桜」


会場中の視線が集まる。


「お前には疑惑がある」


美桜はぽかんと口を開けた。


「はい?」


意味が分からない。


本当に分からない。


会場がざわめく。


エレナが目を見開く。


ユリウスの表情も険しくなった。


その時。


ラシスが一歩前へ出る。


「質問をよろしいでしょうか」


穏やかな声だった。


カイルは一瞬迷う。


だが。


静かに頷いた。


「ああ」


ラシスは美桜を見る。


「聖女様」


「はい」


「あなたは何度も孤児院へ通いましたね?」


「はい」


事実だった。


美桜は素直に頷く。


「ユリウス殿下と王都を視察した後からですね?」


「そうです」


「なぜ通われたのですか?」


美桜は言葉に詰まる。


あの子達が心配だったから。


また来てねと言われたから。


ただそれだけだ。


だが。


会場が求めている答えは違う気がした。


「続けます」


ラシスは穏やかに微笑んだ。


「ユリウス殿下とも頻繁に接触されていますね?」


「それは……」


否定できない。


実際によく会っている。


会場がざわつく。


「なぜ第一皇子ではなく」


「第二皇子とばかり行動していたのですか?」


美桜は固まった。


そんなこと考えたこともない。


理由などない。


本当にない。


「聖女様は」


「次期国王として」


「ユリウス殿下を支持しているのではありませんか?」


会場が大きくざわめいた。


「違います!」


美桜は思わず叫ぶ。


「そんなつもりありません!」


「では、なぜです?」


ラシスが静かに問う。


美桜は言葉を失った。


未来を知っているから。


ユリウスを助けたいから。


本当の理由は言えない。


言えるはずがない。


沈黙が落ちる。


それだけで十分だった。


会場の空気が変わる。


「やはり……」


「ユリウス派なのか?」


「聖女が?」


そんな声が聞こえてくる。


「違います!」


美桜は必死に首を振った。


ユリウスは思わず一歩前へ出かける。


だが。


ぐっと拳を握り締め、その足を止めた。


「私はただ――」


その先が続かない。


「異議があります」


静かな声が響いた。


エレナだった。


「孤児院へ通うことは罪ではありません」


「ユリウス殿下と接触することも同様です」


「それだけで肩入れと決めつけるのは無理があります」


美桜は少しだけ希望を見た。


だが。


ラシスは慌てなかった。


「その通りです」


穏やかに頷く。


「だからこそ説明を求めているのです」


「聖女様ご本人に」


エレナは言葉を失った。


証拠がない。


だが潔白を証明する材料もない。


カイルは苦しそうな顔をしていた。


本当はこんなことをしたかったわけではない。


だが。


今さら引き返せなかった。


会場中が結論を待っている。


やがて。


カイルは重い口を開いた。


「調査が必要だ」


会場が静まり返る。


「その間」


「聖女美桜には謹慎してもらう」


「え?」


美桜は目を瞬く。


「謹慎?」


何だか嫌な予感がした。


貴族たちの反対意見も出なかった。


その日のうちに――


美桜は王宮地下の牢へ連れて行かれた。


重い鉄格子。


冷たい石壁。


どう見ても牢屋だった。


「いやいやいや」


「謹慎って聞いたんですけど!?」


誰も答えない。


ガシャン。


鉄格子が閉じる。


美桜は呆然と立ち尽くした。



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