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第2話 聖女として召喚されました

読みに来てくださってありがとうございます。


少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです。


それでは本編をどうぞ。

「私……あの小説の世界にいるの?」


誰にも聞こえない声が漏れた。


しかし周囲は歓喜に包まれている。


「聖女様!」


「ようこそおいでくださいました!」


「神よ、感謝いたします!」


神官たちが次々と頭を下げた。


美桜だけが状況についていけない。


いやいや。


待って。


昨日まで普通の高校生だったんだけど?


どうしてこんなことになってるの?


「聖女よ」


カイルが声をかける。


「まずは、部屋へ案内しよう」


美桜は流されるまま歩き出した。


神殿の廊下は驚くほど広い。


赤い絨毯。


高い天井。


壁には美しい絵画が飾られている。


まるで海外の宮殿だ。


案内された部屋に入った瞬間、美桜は固まった。


広い。


とにかく広い。


ベッドだけでも自分の部屋より大きい気がする。


「ここが貴女の部屋だ」


「広すぎません?」


「そうか?」


カイルは本気で不思議そうな顔をした。


感覚がおかしい。


さすが皇族である。


神官たちが退室し、部屋には美桜とカイルだけが残った。


ようやく話ができる。


美桜は深呼吸した。


「質問があります」


「許可しよう」


何その言い方。


ちょっと偉そう。


いや皇太子だから偉いのか。


でも、なんか鼻につく。


「私、帰れますか?」


カイルは一瞬だけ目を瞬いた。


「帰る?」


「元の世界です」


「無理だな」


即答だった。


美桜は固まった。


「え?」


「過去に帰還した聖女はいない」


「そんな……」


思わず力が抜ける。


家族。


友達。


学校。


もう会えないのだろうか。


カイルはそんな美桜を見ながら続けた。


「先代聖女様も百年以上この国におられた」


「百年以上?」


「百三歳で亡くなられた」


美桜は驚いた。


「そんなに生きるんですか?」


「聖女は神の加護を受けるからな」


なるほど。


だから次の聖女として自分が呼ばれたのか。


「先代聖女様が亡くなられて三日」


カイルは静かに言った。


「神殿は召喚の儀を行った」


「そして神が選んだのが貴女だ」


美桜は複雑な気持ちになった。


選ばれたと言われても。


嬉しくない。


できることなら日本へ帰りたい。


「聖女の仕事って何をするんですか?」


「祈る」


「祈る?」


「国の安寧を願う」


短い。


説明が短すぎる。


「それだけですか?」


「病人や怪我人の治療も行う」


小説にあった設定だ。


聖なる力で傷や病を癒す。


まさか本当に存在するとは。


「それと」


カイルが立ち上がった。


なぜだろう。


嫌な予感がする。


ものすごく嫌な予感がする。


「貴女には私の婚約者になってもらう」


「は?」


思わず立ち上がった。


今なんて言った?


婚約者?


誰が?


誰と?


「聖女と皇太子の婚約は伝統だ」


カイルは当然のように言う。


「共に国を支えてもらう」


「ちょっと待ってください」


「何だ?」


「私、ここに来て一時間も経ってませんけど」


「問題ない」


問題しかない。


「返事もしてません」


「喜ぶと思った」


「勝手に決めないでください!」


部屋に美桜の声が響いた。


だがカイルは本気で不思議そうな顔をしている。


どうやら悪気はないらしい。


ないのだろうが。


ないから余計に困る。


美桜は頭を抱えた。


やっぱりこの皇太子。


かなり頭が悪い。

読んでくださってありがとうございます!


毎日少しずつ更新しています。


「続きが気になる!」と思っていただけたら、とても嬉しいです。


感想や応援も励みになります。


また次回お会いしましょう!

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