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隣国のモフモフ騎士団長様、番ではない私でよろしいのですか?  作者: こころ ゆい
最終章『番ではない私でよろしいのですか?』

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6 あたたかな祝福につつまれて①


「おめでとうーー!!」


「おめでとうーー!ウィルフォード公爵!公爵夫人!」


 色とりどりのフラワーシャワーが舞う中を、二人歩いていく。


 皆からの祝福が、幸せな彼らを包み込んだ。


 参列者の中には、ヴォルフ陛下やエナメル王妃、テリウェル陛下、留学中に『リルハ嬢』としてお会いしたシルヴァ王女、マーナガルム王子の姿もあった。

 もちろん花嫁の両親、トリス公爵とミルラ夫人の姿も。


 幾つもの赤や白の薔薇のアーチがかかる、青々とした広い芝生。


 白のテーブルクロスがかけられた机には、目にも鮮やかな菓子や軽食、ドリンクが並べられている。


 神の前での宣誓や誓いのキス、フラワーシャワーの祝福を経て、参列者達は、思い思いに談笑したり、食べ物を取り分けに行ったりと、楽しんでいる。


 あたたかな笑い声が、そこかしこで響く。



「おめでとう、ジャスミン。とても綺麗だよ」


「ええ.....本当に。すごく綺麗よ。妖精のように可憐だわ」


「もう、お父様もお母様も、褒めすぎですわ。


けれど、ありがとうございます。

私、今とっても幸せですわ。


お父様とお母様が、私を育てて下さったおかげです....」


「ジャスミン.....良かった、良かった。


ウィルフォード公爵。本当に娘を大切にして下さって、感謝しかありません。


こんな、あたたかな結婚式までーー。


親として、娘の笑顔が見られて実に嬉しい。


どうぞこれからも、末長く娘を宜しくお願いします」


 父・トリスが頭を下げた。


「ええ、もちろんです。

遠い所をお越しくださり、ありがとうございます。


義父上、義母上。

またいつでも、遊びに来てくださいね。


妻が喜びますし、私も嬉しいので」


「まぁ、ありがとうございます。

ぜひ、また遊びにうかがわせて頂きますわ」


 家族の笑顔が、繋がっていく。


 二人はそっと陛下達の居る場まで歩み寄った。


「兄上、義姉上。テリウェル陛下、それに、シルヴァ様、マーナガルム様。今日は私たちのために、こんな素敵な結婚式を、ありがとう」


「ありがとうございます」


「....おめでとう、二人とも。感無量だぞ」


「もう....陛下ったら、泣き虫ね」


 輝かしい姿で、仲睦まじく身を寄せ合い礼を言う光景を見て、ヴォルフ陛下が込み上げる涙を堪えている。


 エナメル王妃は、マーナガルムと同じ色彩の髪と瞳を揺らして、夫を見遣る。ハンカチを取り出し、そっと陛下の目元を拭っていた。


 今日の結婚式は、ヴォルフ・ユービィスト国王夫妻、シルヴァ王女、マーナガルム王子、テリウェル陛下の計らいだ。


 ジャスミンの姿が見えないとサイラスより知らせを受けた日。これから本当の夫婦としてスタートを切るであろうことを予想して、ヴォルフが家族会議を開いた。


 やっと両想いとなった二人に、最高の結婚式を。


 そんな思いでの計画だった。


 と、国王夫妻が話し終えると、テリウェル陛下が前に出る。


「おめでとう、お二人さん。とても幸せそうで、私は胸がいっぱいだよ」


「感謝申し上げます、テリウェル陛下」


「感謝申し上げますわ」


「よいよい。私は、堅いのは好まない。


そういえば、夫人。

その節は世話になったな。


あれから、順調に掘り進めて、遂に新たな水脈を発見したよ」


「まぁ!良かったですわ」


「やはりすごいな、ジャスミンは。まさか、水脈まで見つけるとは思わなかったよ」


「ただ、そこに植っている木に話を聞いただけですわ」


「それがすごいんだ。植物に博識なだけでなく、植物の声を聞ける魔力まで持っていたなんて。全く、夫人には驚かされてばかりだよ」


 フェンリルにも、テリウェル陛下にも、賛辞をおくられ、照れてしまう。


 リーフェント家の庭でタネ明かしがあった日。


 ジャスミンはテリウェル陛下に、試したいことがあると相談を持ちかけた。


 フェンリルの薬を作り上げる過程で、目覚めた力。


 僅かながらの魔力だが、植物達の声を聞ける力を何かに活かせないかと考えた。


 そして思ったのだ。


 水不足や砂漠化に悩む、モーリャント王国。

 自国の土に自生する植物達、特に、より深くまで根を張る木々達に、土の潤い具合を尋ねてみるのはどうだろうかと。


 もしかすると、貴重なヒントになるのではないかとーー。


 実は、植物に詳しいジャスミンに植林に加えて、砂漠化や水不足に対し何かできることはあるか、意見を聞きたかったテリウェル陛下は、この思いつきにすぐさま賛同した。


 結論から言うと、これが大当たりだった。


 その日のうちに、ジャスミンとテリウェル陛下は行動にうつした。


 帰宅する日が伸びたが、再び海を渡って二国間を行き来する時間がもったいないと感じたのだ。


 最初は、テリウェルと過ごさなければならないのを渋ったフェンリルだが、一緒について回ることで同意。


 急遽、知らせを飛ばし休暇を伸ばした。


 まずは、特に水不足に悩む地域に足を伸ばし、植物の声を聞く。次々と聞いて回っていると、地層深くの土の渇き具合にやはり差があることが判明。


 特に、植物の声の反応が良かった場所に、地図上で印をつけていった。


 一気に全てを回るのは不可能なので、まずはその印をつけた場所から掘り進めてもらうということで落ち着き、報告を待った。そして、今まさに良い報告をもらったのだった。


「『太陽の雫』についても、現在、幾つかの場所で植林中だ。うまくいけば、徐々に範囲を広げていこうと思っている」


「ええ、もし何か躓くことがあれば私も一緒に考えますわ」



「本当に感謝する。できれば水脈については、定期的にお願いしたいのだが、良いだろうか。」


「もちろんですわ。モーリャント王国が良い方向へ向かうのは、私にとっても喜ばしいのです。いつでもご協力致します」


「ああ、助かるよ。よろしく頼む」


「はい」


「.....その時は、またついていく」


「ふふ、ええ。わかりました、フェンリル様。お仕事の都合が良ければ、お願いします」


「うむ」


 不満気ではあるものの、承諾してくれた夫に、ジャスミンは微笑みかけた。


「フェンリル叔父上」


 一段落した会話を耳にして、次はシルヴァ王女が半歩前に出て、二人に向き合った。


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