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隣国のモフモフ騎士団長様、番ではない私でよろしいのですか?  作者: こころ ゆい
第三章『私があなたを救います』

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2 激動の一週間②


 5日目の早朝、鳴り響いた馬の蹄の音と大勢の足音。隣国・ユービィスト王国の軍が我が国に攻め入り、あっという間に城まで到達。


 獣人国の精鋭たちに、我が国の武力で到底敵うはずもなく、すぐさま陥落したーー。


 玉座の前に膝をつき、首に剣先を向けられる国王の顔には、もう抵抗の色などなかった。ただ静かに.....自分たちの愚かな行いを認めて受け入れていた。


 主要貴族や大臣たちは、ユービィスト王国の者たちに隅に束ねられ、二人の様子を息を呑んで見守っていた。


「私は、ユービィスト王国騎士団 団長 フェンリル・ユービィストだ。オズウェル・モーリャント国王陛下で間違いないな」


「.....ああ」


「此度のシルヴァ・ユービィスト王女に対する行い、我がユービィスト王国 ヴォルフ国王陛下は見逃せないと申している。.....負けを認めろ」


「....認める。....我がモーリャント王国は、国王オズウェル・モーリャントの名のもと、ユービィスト王国に敗北したことを宣言する」


 俯けていた顔をゆっくり上げ、強く、はっきりと。その場に響き渡る声で宣言した。


「....いいだろう」


 団長フェンリルは、他の団員にオズウェルを捕えるよう視線で促し、剣をおさめた。


「....()()()()()()()。これはヴォルフ陛下ではなく、私個人の質問だ」


 次の瞬間、騎士団の団長ではなく、フェンリルとしての顔をのぞかせ、低い声で訊ねた。


「.....なんだ」


()()はお前の差し金か」


「.....ああ」


「毒消しは」


「.....そんなもの、ない」


 首を振ったオズウェル国王を見て、フェンリルはギリと歯を鳴らした。


 だが、すぐにスッと表情を消して顔だけ振り返る。


「おい、すぐに王都中に宣言を」


「はっ」


 フェンリルの指示で、騎士団の者たちが数人、出口へと駆けていく。


「.......報いは王族だけに受けさせてくれ。貴族にも大臣にも、国民にも.....何の責任もない」


「............」


 今更、国王としての責務に目覚めても、遅かった。フェンリルは何も答えなかった。


 その日のうちに、国王 オズウェル・モーリャントの、モーリャント王国敗北宣言が王都中を駆け巡り、ユービィスト王国の勝利となった。



 6日目には、ユービィスト王国 国王 ヴォルフ・ユービィストの声明が発表された。


『 

 国王 オズウェル・モーリャントを退位、


 王太子 コーネル・モーリャントを廃嫡とする。


 新王には テリウェル・モーリャントが即位することとする。


                    』



 テリウェル・モーリャントは、オズウェルの実弟で、現在三十歳。


 才気に溢れる弟に王位を奪われることを恐れた兄 オズウェルは、年頃になった弟を追い出すように留学させた経緯があった。


 留学先がユービィスト王国だったテリウェルは、学院で王弟 フェンリル・ユービィストと知り合った。


 二人は深い友情を築いていて、フェンリルの兄であり国王でもあるヴォルフのこともよく知る仲だった。


 モーリャント王国は、ユービィスト王国の属国とはせず、独立国のまま、新王 テリウェル・モーリャントが今後国を治めていくことで、溜飲を下げると。声明にはそんな意があった。


 声明が発表された日のうちに、あれよあれよとテリウェルはモーリャント王国の新王として即位した。



「 我がモーリャント王国は、これより私、テリウェル・モーリャントが国王として治めていく。


より良い国、国民たちが住み良い国を目指し邁進していく所存だ。


私には国王として皆を導く義務がある。

だが、国王が一番偉いとは考えていない。


皆の意見、考えをききたい。皆、力を貸してほしい 」


 貴族や大臣、国民たちは新しい国王、新たなモーリャント王国幕開けに、おおいに期待した。



 即位してまず、兄・オズウェルとその妻・エナメル、甥・コーネルを、今回の戦の要因になった責任を問うて、実質島流しの刑にした。


 南部の砂漠化した地帯を蘇らせることに力を注げと命じたのだ。


 そして、もう一人。

 今回の戦の大きな要因、ジェシカ・トランドル男爵令嬢は親のトランドル男爵が子の管理責任を問われ男爵家取り潰し。


 必然的に、ジェシカ嬢は平民となって貴族令嬢としての資格を失った。


 さらに王族同様、家族ともども砂漠化した南部へ送られ、国の土壌の再生に尽力するよう、王命が下った。


 もちろん、コーネルとは離れた別の地域だ。


「どうして!?どうしてこの私が、あんな僻地に送られないといけないのよ!!あの女が悪いのよ!!あの女が身分を隠してなんているから、こんなことに!!!そうよ。嘘をつくあいつが悪いんじゃない!!私は悪くないのに!!」


 髪を振り乱し最後まで黙ろうとしないジェシカ嬢は、僻地に着くまで縛られたまま移動したそうだ。




 そして、激動の一週間を経て帰宅した父と、私は約十七日ぶりの再会を果たした。


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