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世界を覆う影

魔王軍の特別幹部『黒影の四天王』となったブライスには、城の敷地内に広大な専用の屋敷が与えられていた。

その執務室で、ブライスは広げた世界地図の上に、小さな黒いチェスの駒を次々と置いていた。


ブライス

「よし。これで人間国の主要な貴族、周辺諸国の王族、それから裏社会のギルドマスター……全員の足元に《影の監視者シャドウ・ウォッチャー》を潜り込ませた」


人間国で使った影をさらに改良し、新たに『自我』と高度な知能を与えた特化型の諜報影を世界中に散らばせたのだ。

彼らは対象の影に同化し、自らの判断で情報を精査する。


影(念話)

『――主様。人間国の残党が、北方の宗教国家へ軍事支援を求める密書を送った模様です。いかがなさいますか?』


ブライス(念話)

『報告ありがとう。密書の内容だけ書き換えて、そのまま送らせておいて。引き続き監視を頼むよ』


影(念話)

『御意のままに。我ら影の眷属、主様の手足として暗躍いたします』


脳内に直接響く念話テレパシーを切り、ブライスは満足げに頷いた。何か異変があれば、自我を持つ影たちが的確に報告を上げてくれる完璧なシステムだ。


サリエラ

「……やってる事、完全に世界を裏から操る黒幕じゃない。次の四天王会議、あなたの情報網の発表だけで人間国がいくつかひっくり返るわよ」


ソファでくつろいでいたサリエラが、呆れたように笑う。


ブライス

「力任せに暴れるより、情報を握った方が確実に動けますから。……ただ、問題が一つあるんです」


サリエラ

「問題?」


ブライス

「僕が不在の時、この広い屋敷の管理や、リエルの護衛をする人材がいません。影は物理的なお世話ができませんし、火竜たちは大きすぎて屋敷に入れないので」


ブライスは執務机から立ち上がり、部屋の広いスペースへと移動した。


ブライス

「だから、僕の『手足』となってくれる優秀な側近を呼ぼうと思います。……魔族領の屋敷なら、やっぱり『悪魔』がいいかな」


サリエラ

「ちょっと待ちなさい。悪魔の召喚は、帝国の魔術師でも命懸けの儀式なのよ!? 準備もなしに……」


サリエラの制止も聞かず、ブライスは一切の詠唱なしで、膨大な魔素を床に叩きつけた。

部屋の空間が歪み、世界を隔てる次元の壁がガラスのように砕け散る。



ドォォォォンッ……!!



凄まじい魔力嵐と共に現れたのは、四体の高位悪魔だった。

男性型が二体、女性型が二体。いずれも、帝国の軍団長クラスすら凌駕する圧倒的なプレッシャーを放つ、神話クラスの悪魔たちだ。


悪魔A(男)

「我らを喚び出したのは……貴様か。我らは高位の……ッ!?」


悪魔がブライスを見下ろそうとした、その瞬間。

ブライスの内側から漏れ出る、常軌を逸した『SSSランクの魔素』と『古代竜の覇気』が、彼らを真っ向から叩きのめした。


悪魔たちは息を呑み、全員が弾かれたように床に膝を突き、深々と頭を垂れた。


悪魔A(男)

「あ、ああ……! なんという、なんという濃密で、深く、絶対的な魔力……! あなた様のような御方がこの世におられたとは……!!」


悪魔B(女)

「我らのようなちっぽけな存在を喚び出していただき、恐悦至極に存じます……! 偉大なる王よ、どうか我らに、あなた様の足裏を舐める許可を……ッ!」


ブライス

「あ、舐めなくていいです。そういうの求めてないので」


狂信的な瞳で平伏する四体の悪魔に、ブライスは少し引き気味にツッコミを入れた。


ブライス

「えっと、君たちにはこの屋敷の管理と、僕の身の回りの世話をお願いしたいんだ。とりあえず、名前をつけないと不便だよね」


悪魔たち

「「「なっ……!?」」」


悪魔たちが一斉に顔を上げ、驚愕に目を見開く。


悪魔A(男)

「我ら悪魔にとって『名付け』とは、主の魂と魔力を直接分け与えられる絶対の契約……! よ、よろしいのですか!?」


ブライス

「うん。じゃあ、男性陣は『シュヴァルツ』と『ヴァイス』。女性陣は『ルビー』と『サファイア』で」


ブライスがさらりと名前を口にした瞬間。

四体の悪魔の体が、凄まじい光に包まれた。


シュヴァルツ

「おお……オォォォォォッ!! 力が、底知れぬ力が溢れてくる……ッ!!」


ルビー

「ああっ、なんという至福……! 王の魔力が、私の中を……ッ!」


ブライスの規格外な魔力を分け与えられたことで、四体の悪魔はさらに上位の存在へと『進化』を果たした。

シュヴァルツとヴァイスは、一切のシワがない機能的で洗練された漆黒の執事服姿へ。ルビーとサファイアは、優雅でありながら動きやすいメイド服姿へと変貌する。


(……やばい。進化したこいつらから、四天王のガランさん以上の魔力を感じるんだけど)


ブライスは顔に冷や汗をかきながら、内心で激しくツッコミを入れた。

(ただのお世話係のつもりだったのに、これ絶対こいつらの方が四天王向いてるだろ……)


シュヴァルツ

「我が神よ。このシュヴァルツ、命に代えましても、主様のティータイムを完璧に彩ってみせましょう」


シュヴァルツは優雅にお辞儀をすると、流れるような手つきでどこからか最高級の茶葉とティーセットを取り出し、瞬く間に芳醇な香りの紅茶を淹れてサリエラとブライスの前に差し出した。


ルビー

「王よ。あちらにいらっしゃる可愛らしいエルフのお嬢様のお相手は、私めにお任せを」


ルビーは慈愛に満ちた笑顔で、部屋の隅で目を丸くしていたリエルのもとへ歩み寄る。


ルビー

「初めまして、リエル様。ルビーと申します。さぁ、一緒にお人形遊びをいたしましょうか」


リエル

「わぁっ! 悪魔のお姉ちゃん、すっごく綺麗! よろしくね!」


数分前まで地獄の底で血生臭い闘争を繰り広げていたはずの超絶大悪魔が、今はリエルと一緒に床に座り、ニコニコと笑いながら人形遊びをしている。


サリエラ

「……ねぇ。あの子たち、本気出せば人間の国一つくらい半日で滅ぼせるわよ?」


ブライス

「ええ。でも、紅茶の淹れ方も完璧ですし、リエルも楽しそうだから、結果オーライです」


ブライスは、シュヴァルツが淹れた極上の紅茶を一口飲み、満足げに微笑んだ。


世界中に張り巡らされた自我を持つ影の諜報網と、神の如き忠誠を誓う最強の悪魔たち。

新しい居場所で、ブライスの軍団は、静かに、そして規格外の速度でその盤石な基盤を築き上げていた。

彼らの階級(序列)のイメージはこんな感じです!


《悪魔の階級設定(ヴァル=ガルデ世界基準)》

下級悪魔レッサー:自我が薄く、本能で動く雑兵。

中級悪魔ミドル:人間の軍隊一個小隊に匹敵。会話可能。

上級悪魔グレーター:街一つを落とせる力を持つ。貴族クラス。

最上級悪魔アーク:今回ブライスが呼んだ4体(進化前)。国を揺るがす災害指定クラス。

王級悪魔ロード:魔王や四天王クラス。

神級悪魔デヴィル:今回ブライスが名付けをして進化した4体の現在の姿。もはや四天王より強いかもしれないお茶汲み係。

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