第一王子アルク・トレサー
「ラヴァンダ、いるか?」
「はい」
先ほど図書館で借りた本を自室に持って行き、読み耽っていたラヴァンダ。そこに、第一王子である『アルク・トレサー』がきた。
アルクはドアをノックし、いるであろうラヴァンダに話しかけると、ラヴァンダはそれに返事する。すると小さな音でアルクはドアを開ける。
「アルク兄様、どうされました?」
「魔術の訓練に誘いに来た。今、ライルとメレナはいないのか?」
「ライルの再教育です」
「そうか」
ラヴァンダはアルクの誘いに了承すると、訓練場へ向かった。王城には魔術の訓練場と騎士団の練習場の二つがある。
アルクは第一王子であるため、どちらの訓練場も自由に使える使用権を持っている。
「ラヴァンダ。お前はまだ使用権を有していなかったな」
「はい。まぁ、十三番目の私には関係のない話です」
「いや、わからんぞ。最近は第一王女のアイツも、王位につくやもしれんと言われているからな」
トレサー王国ではまだ王太子が決まっていない。一番王位に近いのが第一王子であるアルク、他の王子、王女も王位に近づいている。
が、ラヴァンダは歴史と魔術について研究できるのであれば、王位には興味がない。
「アルク兄様、今日は何の魔術の訓練を?」
「四大魔術だな」
(四大魔術か……。アルク兄様ならもっと他の魔術もできそうなものだが………)
魔術には特性があり、火、水、風、土の魔術は『四大魔術』と呼ばれている。これは基本的な魔術。日常の中でも使えるので『生活魔術』とも呼ばれている。
アルクは政務も行なっているが、その片手間で魔術の訓練もしている。政務と訓練、これをこなせるのはアルクの特異な才能が可能とさせている。
(アルク兄様、また魔力が増えたな……)
ラヴァンダの目に、アルクを大きく覆っている光のオーラが見えている。それを『魔力』という。アルクの魔力は一般人よりもはるかに多い。
けれど、アルクから見たラヴァンダは———
(小さい………。一般的な大きさだな)
ラヴァンダの魔力は大きすぎる。大きすぎるからこそ、その力を理解できないものには一般的な魔力量と同等に見えているのだ。




