最強の剣士である教育係2人
ラヴァンダがメレナによって連れ出されたのは、訓練場だった。訓練場といっても剣の訓練場だ。
ラヴァンダは6歳ぐらいから教育係の2人によって剣術を教えられていた。もっとも、ラヴァンダは剣術にはあまり興味がない。
「ライル。連れてきました」
「よしっ。それじゃあ、ラヴァンダ様、始めましょうか」
「ハーイ……」
ラヴァンダに向けて爽やかな笑顔をしたのは、ラヴァンダの専属護衛兼教育係である『ライル』。
さっぱりと切った赤髪に、鎧の上からでもわかるそれなりに屈強とした体つき。
ライルとメレナは互いに幼い頃からの知り合いだ。メレナはトレサー王国の騎士団長の娘。ライルは騎士団長の元右腕。
なぜこの2人がラヴァンダに仕えているかは本人しか知り得ない。2人にとってラヴァンダは大切な存在だ。
「今日はライルが相手か?」
「はい。俺は大剣を使うので、ラヴァンダ様はいつも通りで」
ライルはそういうと、大剣を構える。ライルの鋭い目はラヴァンダを子供と舐めておらず、1人の敵と捉えている。
その視線に、ラヴァンダはただ目を細めて返した。
「それでは……、はじめっ!」
メレナの声の後に2人は動いた。だが、2人の異常な速度と、それによって起こった木剣同士がぶつかる音で、メレナの声はかき消されたように聞こえた。その光景にメレナは無表情で眺める。けれど、瞳だけは2人と同じ速度で動き、2人の姿を捉えていた。
「ラヴァンダ様、やはり貴方様は魔術よりも剣術が向いていると思いますが……」
ライルが笑いながらそういうと、ラヴァンダは冷ややかな目をライルに向けた。それを見たライルは——
(あっ、やべ………)
そう思った瞬間に、ライルの体は地面に叩きつけられた、と思ったら宙に浮いていた。
そんなライルの頭上を《浮遊》で浮いているラヴァンダが発した言葉は——
「断る」




