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地球決戦 ースペースマン5-  作者: 本山なお
14/33

ロストラブ③

 報告を受けた流艦長は思考を巡らす。

「敵の目的は何だ?シェプーラ星を攻撃する事か?否。シェプーラを味方に、自分たちの兵士にする事だ。そのために地上兵器を使うものと考えていた。だが違った・・ではどうやって味方にする?人類の場合、放送電波で催眠暗示をかけて疑似ESP波で操った。しかしシェプーラにはテレビもラジオもない。どうやって催眠暗示にかける?・・いや、もしかしたら・・」

 流艦長はマイクを掴む。

「陸戦隊に通達!敵は既にシェプーラを配下に入れている!シャトルは彼らを攻撃するものではなく、乗せるためのものだ!急いで撤収!無理ならシンクロ解除しろ!!」

 通信を聴いた明は輸送機をUターンさせる。

 降り立った陸戦隊の前にシェプーラの群れが現れる。


『こちら偵察機8号。太陽の近くにESP波の発信源を探知!』

 メインブリッジのクルーはメインパネルを見上げる。

 シェプーラ星の太陽。その近辺に浮かぶ巨大な宇宙要塞。本物の青龍の旗艦である。

 その艦橋では、青龍が部下の報告を受けていた。

「青龍様。網にかかりました」

 青龍は微笑み「よし、こちらへ誘導しろ」


 どこかの宇宙空間。

 トスーゴの戦艦数隻が慣性航行している。イギャロン級だ。

 そこへ大銀河帝国の駆逐艦が攻撃をかける。そのまま逃走。

 トスーゴ艦は無傷だ。エンジン始動し駆逐艦を追う。

 駆逐艦はワープに入る。トスーゴ艦もそれを追って・・・

 駆逐艦は敵と交戦中の<スペースインパルス>の近くにワープアウトする。

 続いてトスーゴ艦隊がワープアウト。

 現れたトスーゴ艦にインパルスの放った砲撃が命中。爆発。

「!」 

 青龍が微笑む。「見ろ。最強の助っ人だ」


「ボメック!」

 突然シェプーラの少年は立ち止まり動かない。

 ゆっくりと振り返る。急にロミめがけて突進する。

 ボッケンが蹄で防御する。すかさず当て身をくらわす。ボメックは気を失う。

「やはり」

 ボッケンはキューブを睨みつけ、刀をくわえて一閃。

 キューブは真っ二つに斬れる。

 立ちつくすロミにボッケンが説明する。

「こいつが催眠波とESP波の両方を出している」


 降下した陸戦隊はシェプーラの群れに囲まれていた。

 シェプーラたちは次第にその輪を狭めていく。

 口に何かをくわえている。それから光の剣が伸びる。ビームブレード。勿論彼らにこの武器を提供したのは大銀河帝国だ。 

 陸戦隊は銃を構える。

 狙いを定め、「撃て!」一斉に発砲する。

 ほとんどの弾は外れる。シェプーラたちはジグザグに走りながら接近する。

「上だ!空へ・・」

 装甲兵はノズルを噴射し空へ逃れる。

 シェプーラは仲間を踏み台にしてジャンプする。空中で装甲兵に襲いかかる。

「わあー!」陸戦隊は銃を乱射する。

 風が通り過ぎる。次々と装甲兵は倒されていく。

 <スペースインパルス>の無人機制御室。

 ここで装甲兵を操っていた陸戦隊員たちは“シンクロ“の影響で気を失う。 

 眩い光が戦場に煌めく。輸送機のライトだ。

 明の操る輸送機が戦場上空に達する。速度を落としてハッチを開ける。

「飛び乗れ!」 

 装甲兵たちはフルブーストで上昇しハッチに取り付く。その数は10機にも満たない。

 さすがにシェプーラはこの高度までジャンプできない。

 ヨキはモニターでマニュアルを読みながら、

「睡眠ガスないのかよ・・あった凍結弾!」スイッチを探す。「発射!」

 後方に向け凍結弾を射出。

 地表のシェプーラの群れが氷漬けになる。暑い砂漠地帯のため効果は一時的だ。

 明は輸送機をUターンさせ、再度味方救出に向かう。

 

 攻撃されたトスーゴ艦隊が<スペースインパルス>に反撃を開始する。

 ビームの束がインパルスへ。サライは操艦でかわす。

 ロイが「応戦します!」

 主砲が旋回し、狙いを定める。発射!

 一撃でトスーゴ艦を粉々に粉砕する。

「クリス」

 流艦長に呼ばれたクリスは振り向く。

「左舷の大銀河帝国旗艦の動きに気をつけろ」

「わかりました」

 クリスはメインレーダーパネル上の旗艦を指でマーキングする。これで何か動きがあれば知らせてくれる筈だ。

「第七・八番砲塔は次元衝撃砲モードで待機。いつでも旗艦を撃てるようにしておけ」 

 アランは医務室の啓作と通話中だ。

「“バリアーアタック”の応用か。なるほど、柔軟な発想だ。盲点だった。ありがとう。これで敵のESP波の妨害ができるかもしれない」作業に入る。

 ズズーン。船体を衝撃が襲う。トスーゴ艦の攻撃が命中した。

 アランは動ずることなく一心不乱に作業を続けている。

「損傷軽微」ニコライが報告。「だがこのまま集中攻撃を受け続けたら・・」

 主砲発射。3隻目を撃沈。

 連続発射。今度は外れる。ミサイルが追尾し、命中。爆発。

 トスーゴ艦が編隊を組んで攻撃。

 サライは避けるが、ビームは追尾して来る。

 迎撃。側舷から“ホーミングアロー”発射。被弾を防ぐ。

 インパルスの周りに無数の爆発が起こる。

「!」クリスの顔色が変わる。「(旗艦が)動きました!」


 ロミの偵察機は装甲兵の屍が累々と続く草原の上空を飛ぶ。

 シェプーラを操るキューブの存在をインパルスに連絡した。

 それらは“端末”に過ぎない。どこかにある“本体”からのESP波を中継しているだけだと言うのが、断面写真を見たアランの意見だった。他の偵察機もESP発信源を見つけていたが、どれもが“端末”だった。

 多数ある“端末”を一つ一つ潰していても埒が明かない。“本体”を叩く。

 一つはおそらく敵旗艦だ。それ以外に以前から催眠波を出していた“本体”が(破壊した衛星基地の他にシェプーラ星の)どこかにあるはず。偵察隊はそれを探している。

 草原を過ぎ、山岳地帯に入る。電波なら高い所から発した方が有利と考えた。

 後席のボッケンは前方の山を見て不審に思う。

 この星で一番高い6000m級の山がそびえている。だがその形がボッケンの記憶と異なる。

「ロミさん」

「ほんとに撃っていいの?」

「お願いします」

 ロミはトリガーを握る。レーザーバルカン発射!

 山の頂上に命中。山が揺らぐ。カモフラージュが解かれ巨大な塔が姿を現す。

 それと同時に塔のてっぺんからビームが発射される。

「!」

 ロミは急旋回でかわす。すかさず反撃。ホーミングレーザー発射!

 ビームは塔に向かう。命中。

 塔は無傷だ。

「バリアー」ロミは舌打ちする。偵察機のため武装は少ない。

『まかせろ!』

 通信と共に上から<スペースコンドル>の編隊が急降下して来る。先頭は勿論リュウだ。

「まかせた」ロミはそう言い、この場を離れる。

 <スペースコンドル隊>は一斉にミサイルを発射する。

 数え切れないミサイルの束が大銀河帝国の塔へ命中する。

 炎につつまれ塔が崩れ落ちる。

 それでもシェプーラ達の呪縛は解けない。旗艦が残っているからだ。

 夕闇が迫っていた。

「あ!」ボッケンは思わず声を出す。

 輸送機が草原に不時着するのが見える。

 3号機。明の機と違うと判るとほっとするが、あれにも人が乗っている。

 シェプーラの群れが輸送機に向かうのが見える。

 ボッケンはしばし考えていたが、決断する。

「ロミさん。高度を下げて。ボク・・降ります」

「え?」 

 ボッケンは後席のキャノピーを開く。そのまま外へ。

 空中でツインブレードを展開。グライダーの様に滑空し、輸送機とシェプーラの間へ降り立つ。

 ボッケンは顔を上げ、前を見据える。

 前には無数の同胞。だがその顔は無表情だ。

 上空のロミが心配そうに見つめる。

「無茶よ」

 不時着した輸送機のコクピットではパイロットが震えながら銃を構える。 

 隊長が制する。「撃つなよ。今撃ったら終わりだ」一触即発。

 日が暮れた草原。

 月明かりの下、ゆっくりとシェプーラの群れが迫る。

 先頭の者は他の者より一回り大きく、そのたてがみは長く、風になびいている。

 王(父)だ。

 ボッケンは一瞬目線を落とすが、再び前を睨みつける。

 その気迫でシェプーラの何頭かが倒れる。

 じりっじりっと大群が迫る。

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