絶望の始まり
城に戻ると、そのままの足取りでエーデルは自分の部屋の前まで歩いた。
先にエーデルが扉を開け中に入る。
神威は部屋の前で止まってしまった。
「どうした?早く入ってこい。」
エーデルが帽子をコートスタンドに掛けながら言う。
ーー入っていいのか。こんなオシャレな自分みたいな奴がいては行けないような部屋に。
神威はそう思いながらも、最後には覚悟を決め中に入った。
エーデルは机の上に肩掛けバックを置き、椅子に深く座った。
「その椅子に座ってくれ。」
エーデルは机を通して反対側の椅子を指差し言った。
神威は言われた通りに椅子に座った。
周りをキョロキョロと見回す。
家具は暗い色のクラシックで揃えられており、この部屋だけ重みがあった。
「いい部屋ですね。」
神威がそう言うと、
「ここは元々父の部屋だったんだ。死んでからは私がこうして使ってる。さて、神威をこの部屋に呼んだのはコイツを見て欲しいからなんだ。」
エーデルは座り直してからバックから写真を取り出した。
神威は写真を手に取りエーデルに対し質問した。
「これは?」
「これは軍事機密のものなんだが、今あの島で展開中の敵の車両らしい。」
「それで、これを自分見せてどうしろと?」
「神威はこの車両が何かわかるか?」
そう言われ神威はもう一度写真を見た。
写真は全部で3枚あり、色々な角度から撮られたものだった。
「全部同じ車両ですかね?白黒ですしあまり詳細じゃないので大体ですが、これはT-34だと思います。」
神威は3枚の写真を見てそういう。
「そうか。初めて聞く名前だ。性能とかは分かるか?」
「性能ですか。速力は50kmは出て、主砲は見た感じ長砲身76.2mmだと思うのでⅢ号やIV号戦車だと1km先から貫通可能かと。」
「うーむ。なかなかの速さだな。主砲も脅威だな。装甲は?」
「装甲が1番の厄介者でして、前面、側面、背面全部45mm。」
「なんだ。そうでもないじゃないか。」
「いえ、写真を見てもらえればわかるように斜面になっていますよね?」
神威が指を指しながら言う。
「そうだな。」
「これが問題でして、これは傾斜装甲と言って傾けることで装甲は増し弾の運動エネルギーを分散させることで貫通しにくくなっているんです。」
「では、どうすれば勝てる?」
「そうですね。パンツァーファウストでも撃破可能です。戦車ですとⅢ号戦車の3.7cm、5cmでは火力不足で貫通することは不可能です。勝つには7.5cm以上の主砲ですね。それも長砲身の。」
「我々が乗ってきたあの戦車は?」
「ティーゲルですか?あいつなら余裕です。8.8cm砲なので。問題は現時点でのあの島に配備されている車両です。これまではドラゴンを相手にしていたから対空機銃や高角砲の武装が一般的で戦車はあってもここに来るまで見た奴はみんな旧型。今の戦力ではまず太刀打ちできないかと。パンツァーファウストと高角砲を水平射撃したとしてもいつまで持つか・・・。」
神威はそう話してからエーデルを見るとエーデルの顔は青ざめていた。
エーデルはすぐに席を立ち、早歩きでドアを開け
「今すぐ本部に連絡をしてくる。君の話がホントなら前線は壊滅し、次こそ主導権を相手に握られる。そうならない前に手を打つ!」
エーデルは少し興奮気味に言い、部屋を出た。
神威は呆気に取られ椅子に座ったままだった。
神威は深呼吸してからもう一度写真を見る。
ーー間違いない。こいつはT-34だ。この独特なシルエット。もし、これが本当ならあの島の配備車両だと完敗。T-34ショックが起こり戦場は混乱するだろうな。
神威はそう思いながら席を立ち部屋をぐるぐると回る。
ーーどうする?確かに配備車両の中には高角砲が乗ったIV号戦車もいたが、あれじゃ防御面が皆無だ。どうすれば勝てる?
そして、本棚に寄りかかる。
すると本棚の中の1冊が奥に押し込まれる。
「うわっ」
神威はすぐに本棚から離れる。
本棚が奥に入り込んでから横にずれる。
本棚があったところの先には部屋があった。
ーー隠し部屋?
神威は興味本意で中に入った。
最後まで読んでくださりありがとうございます。
作者のかるびぃんです。
ミリヲタとタイトルにあるくせにそこそこの話ししかしてこれなかったのですが、今回やっと少しはミリヲタっぽい場面が出来たんじゃないかなって思ってます。
それでは、次回をお楽しみに




