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板谷楓のスイートメイプルタイム 2023年4月28日

 山奥にたたずむちっちゃな村、このはな村のコミュニティラジオ、このはなFM。金曜夜のDJは板谷楓さん。彼女のトークと素敵な音楽で綴る番組の様子を、小説スタイルでお楽しみください。

(もちろんフィクションなので番組も放送局も実在しません)

 みなさんこんばんは、板谷楓です。

 週末の夜、このはな村役場分署一階のスタジオから生放送でお送りしております、板谷楓のスイートメイプルタイム。一週間の疲れを癒やされる方も、週末の稼ぎ時に備えて英気を養いたい方も、どちらでもない方も、お聴きいただければ幸いです。


 リスナーの皆様には、ラジオのお供ってありますか? わたしたちラジオDJのお供は飲み物です。おしゃべりすると(のど)が乾きますから。

 わたしは毎週、このはな牛乳を飲みながらおしゃべりしています。もう番組でお馴染みかもしれません、このはな村営牧場自慢の牛乳です。

 んぐっ。

 あくまでわたしの感想ですけど、牛乳を飲むと喉が膜に覆われて保護される感じがして、おしゃべりするには丁度良いと思います。


 このはな牛乳は、もちろんこのはな村で搾られた牛乳百パーセントです。観光客の方々にも人気で、その理由はもちろん、美味しさもさることながら、昔ながらの牛乳瓶に入ってるのが良いからというのもあるみたいです。

 わたしもよそから移り住んだ人間ですから、牛乳は紙パックに入ってるものだと思ってたんです。でもこのはな牛乳はずーっと瓶なんです。今わたしが飲んでるちっちゃいサイズはもちろんですが、大きなサイズも、みーんな瓶なんです。

 牛乳を詰める工場は牧場の中にあるんですが、瓶専用の設備しかないんです。昔からある機械をそのまま使ってるんだそうですよ。


 サイズは色々ありますが、大家族だと一升瓶が便利ですね。

 なーんてことを言うと観光客の方はだいたい驚きますけどね。わたしも最初はびっくりしましたけど。

 なんでパックにしないかって、それ用の機械買うお金の問題もありますけど、瓶のいいところは、なんといってもゴミがほとんど出ないところですね。村の牛乳屋さんに持ってくとお金が返ってくる昔ながらのシステムですから、捨てるってことは基本的無いです。

 もちろん牛乳を配達してくれるお店もありますけど、うちみたく御用聞きのない家で空き瓶を返すのはだいたい子どもの仕事です。もちろん戻ってきたお金狙いですよ。ふふ。いいお小遣いになるんです。


 あと牧場まで行くと量り売りもやってますから、牧場が近い人などは容器を自分で持っていって入れてもらったりしますね。もちろんどんな容器でもいいんじゃないいんじゃなくて、ペットボトルとかは保健所の指導で禁止になっています。

 基本的には専用のミルク缶に入れてもらうのがルールです。ミルク缶というのは、青い看板のコンビニってあるじゃいですか、そこの看板のマークになってるあれです。

 缶は最初自分で買わなきゃいけないし、常に使い続けないといけないんです、錆びちゃうから。それが短所ではあるんですけど、毎日飲むならこっちのほうが軽くて持ち運びやすくていいですよ。割れないし。

 うちは瓶と缶、両方使ってます。普段は缶ですが、シチューとかケーキとか作るのにたくさん牛乳使う時は瓶で買い足します。


 で、今週の食レポなんですが、これだけ牛乳の宣伝したあとでなんですが、別のものを紹介したいんです。なんで牛乳じゃないの? って声もありそうですけど、でもほら、牛乳のお供って大事じゃないですか。

 そこで今日は、このはな村の家庭料理で郷土料理の、おやきを持ってきましたー!

 おやきというのは信州の郷土料理で、見た目はお饅頭なんですが、中身があんこだけじゃなくて野沢菜の漬物とか、ナスとかの野菜が入ってたりする、甘いのが苦手な人でも食べられるし、お弁当がわりに持ち歩けたりもする便利な食べ物です。

 このはな村は上州と信州の境目にあるので、両方の食文化が入ってきてるんです。しかも外国から移り住んだ人々が自分の国の食文化を持ち込んで、どんどんおやきの具にしていったんです。


 今日わたしが食べるのは、パスタおやきです。イタリアの食文化を信州の食文化にミックスさせた逸品です。

 おやきという名前で分かるように、焼いて食べると美味しいです。今日もホットプレートを持ち込んで、スタジオで焼いてまーす。そろそろいい香りがしてきたので、食べ頃かなー。

 あつ、あ、あつっ。おっととと、うっかり手で持つと超熱いんで気をつけましょうね。こうやって、お箸で取って、お皿にとって。中身がどんなになっているのか、半分に割ってみますね。

 う〜ん! 割った瞬間、ケチャップとチーズの香りが立ちのぼってきます。このチーズがまた熱々なので、気をつけながら食べないとなんですよねー。


 はふ、はふ。

 熱々で美味しいです〜。アラビアータにチーズをたくさんかけた感じの味です〜。

 おやきの皮は、小麦粉だったり、そば粉のこともありますが、最近はお米が安くなってるので米粉も使うことがあります。小麦やそばはアレルギー物質でもあるので、該当の方は原材料を確認してから購入してくださいね。

 あとですね、中のパスタもこのはな村純正です。村に製麺所があるのはもちろん、パスタの小麦も村で作ってるんです。

 パスタには、こんな感じの麺にはデュラムセモリナとかいうふうに小麦の種類との相性があって、パスタのいろんな種類に合う小麦を作り分けているのは、日本ではこのはな村くらいみたいですね。昔この村に移り住んだイタリア系の人々が持ち込んで、自給自足目指して育てた結果だそうですよ。このはな村はイタリアと気候が違うのですが、試行錯誤しながら村の自然に合う小麦を選んでいったそうです。

 チーズはもちろん牛乳からすべてこのはな村産、トマトソースも村で出来たトマトを使ってます。水はけの良い土がトマト栽培に合ってるみたいです。

 このはな村産の材料をふんだんに使ったおやきは、他にもいろんなパターンがあります。また、このはな村産の小麦で打ったパスタは村内および周辺の市町村で購入・飲食できますので、機会があればぜひお試しください。


 板谷楓のスイートメイプルタイム、お送りしてまいりました。

 村営牧場の牛乳量り売りは、その場で飲むこともできますので角打ち感覚でお越しください。カップやジャッキで立ち飲み座り飲みできます。

 牛乳のお値段ですが、今は百八十ミリリットルが三十円です。安いですよね。でもパックの牛乳って都会のスーパーだと一リットル二百円くらいします? 安売りすればもっと安いでしょうけど、でもこのはな牛乳は低温殺菌の成分無調整なので、とってもお買い得だと思いますよ。村へお越しの際はぜひお試し下さい。

 お知らせです。来週のこの番組はお休みです。このはなFMでは、祝日はレギュラー番組の多くをお休みにするのが慣例ですのでそれにならいます。

 祝日は特別編成になりますので、もしかしたら板谷もそのどこかに出るかもしれません。その際はなにとぞ応援のほどよろしくお願いいたします。


 板谷楓のスイートメイプルタイム、そろそろお時間です。

 それでは、また次回まで、ごきげんよう。


 相変わらず牛乳が高くて、そのくせ産地では供給過剰、でも輸入は止まらないという状況は続いているようです。自国の食料自給率を上げることこそ国民の生命を守るために重要だと思うんですけどねえ……。

 牛乳の一升瓶売りは、実際昔の北軽井沢にありました。今は無くなっていると思います。今でもジョッキに入った牛乳を飲める、落ち着けるところです。


 おやきは長野のソウルフードにして、ファストフード的要素もある食べ物ですね。野沢菜が入っているものや、かぼちゃが入っているものなど、素朴な良さがあります。子どもの頃は甘いもの好きですから、あんこやかぼちゃを引くと当たりだと思ってました。


 県境近くの土地というのにロマンを感じます。ふたつの土地の文化が混ざり合うこともあれば、山や川で隔てられて別の文化圏のようになっているところもあり。

 このはな村は前者として設定しています。そもそもふたつの県の文化が混ざり合っていた素地があったから、外国の文化が受け入れられたという流れです。


 番組はゴールデンウィーク休みですが、作者の投稿はお休みしない予定です。いくつか読み切りを並行して書いていますので、どれか一つでも出せればと思っています。

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